松田耕平

松田耕平: 広島の野球と自動車産業に貢献した実業家

松田耕平（まつだこうへい、1922年1月28日 - 2002年7月10日）は、広島の自動車メーカー・マツダ（旧東洋工業）を支え、また広島東洋カープのオーナーとしても知られる実業家である。彼は創業者一族の出身で、父親が3代目社長を務めたことから、ビジネスの世界で活躍する素地は幼少期からあった。広島県広島市で生まれ育ち、慶應義塾大学法学部を卒業した後、1947年から実業界での道を歩むことになる。

学歴とキャリアの始まり

松田は、修道中学校を経て慶應義塾大学に進学し、1947年に卒業。その後、1956年にアメリカのシンシナティミーリング社に留学し、同年、広島マツダの社長に就任した。この頃、彼は自動車業界の新たな可能性を模索していた。1957年にはオート広島の社長に就任し、さらに1970年には父が亡くなり、東洋工業の3代目社長に就任した。

ロータリーエンジンと市場の変化

松田の社長就任時、マツダはロータリーエンジンを搭載した車両を主力商品とし、ファミリアやコスモスポーツなどにこの技術を採用していた。彼はロータリーエンジンこそが同社の将来を支えると考えていた。しかし、1973年のオイルショックによって、省エネルギーのニーズが高まり、結果としてその技術は徐々に敬遠されるようになった。このため、松田は1977年に会長へ退くこととなり、その後、名誉相談役まで役職を昇格させた。

広島東洋カープへの貢献

1949年に創立された広島東洋カープは、松田がオーナーに就任した1970年代、運営上の厳しい問題に直面していた。球団名を広島東洋カープに変更したのも、税制上の理由からであった。松田は球団改革に取り組み、慶應義塾大学の同窓生である別当薫氏を監督に招くなど、戦力の強化を図った。特に1977年にカープのチームカラーを紺から赤に変更し、以後「赤ヘル旋風」として知られる成功を収める。

1979年、1980年、1984年の3度にわたり日本シリーズ優勝を果たし、松田はその成功の一翼を担った。彼は選手たちに対して非常に温かい心を持ち、「可愛がっている」という信頼関係を築きあげ、また、教育リーグへの選手派遣やカープアカデミーの設立など、育成にも力を注いだ。

名誉と評価

松田耕平はその功績により、数々の叙勲や名誉を受けた。1976年にはフランスのレジオンドヌール勲章を授与されるなど、国際的にも名声を得た彼は、2002年7月10日、胃癌により80歳でこの世を去った。彼の生涯は、野球と自動車産業の両方において輝かしいものであり、広島における経済と文化の発展に貢献したことが高く評価されている。

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