松田芳穂

松田芳穂：モータースポーツと名車コレクションの軌跡

松田芳穂氏は、日本の自動車収集家、実業家として知られる人物です。1941年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。大学時代は自動車部に所属し、モータースポーツへの情熱を燃やしました。特に、伝説的レーサーである故・浮谷東次郎氏との出会いが、氏のモータースポーツ人生に大きな影響を与えたと言われています。

モータースポーツへの情熱

1960年代、日本のモータースポーツ黎明期において、船橋サーキットや鈴鹿サーキットなどで数々のレースに参戦。華々しい活躍をみせました。若き日の経験は、その後の人生において、貴重な財産となったことは間違いありません。

世界的に著名な「松田コレクション」

長年に渡る情熱は、類まれなコレクションへと結実します。フェラーリやポルシェを中心とした、世界的に有名な「松田コレクション」は、その規模と質において他に類を見ません。単なる所有に留まらず、コレクション車両の選定眼と、その維持管理における徹底した姿勢が高く評価されています。

「松田コレクション」の名は、モータースポーツ界においても広く知られています。「WEC-JAPAN」や「全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権」、「ル・マン24時間レース」といった数々のレースに参戦するチームへのスポンサーを務め、その名を世界に轟かせました。世界のクラシックカー業界では、「元松田コレクション」という記述が、車両の経歴の信頼性を示す証として扱われるまでに至っています。

フェラーリとの深い繋がり

松田氏の情熱は、特にフェラーリへと注がれてきました。コレクションを一般に公開するため、1979年に「軽井沢古典車館」を、1981年には「ポルシェ博物館」（いずれも現在は閉館）を創設。その後、静岡県御殿場市に「フェラーリ美術館」を設立し、館長を務めました（2008年閉館）。

日本におけるフェラーリ・クラブ・オブ・ジャパンの創設にも貢献、会長も歴任。創業者エンツォ・フェラーリ氏とも交流がありました。さらに、「ミッレミリア」、「ツール・ド・フランス」といった世界的な自動車イベントに積極的に参加。1990年代には、フェラーリのレース専用マシンで自らもモータースポーツに参戦するなど、その活動は多岐に渡ります。

2014年には、ラ・フェラーリの日本一号車のオーナーとなり、その名声を不動のものとしました。2021年のインタビューでは、危険を伴うクラシックカーレースから身を退き、安全で速い現代車へと乗り換えることを明かしています。400～500台もの名車を所有してきた氏にとって、最も印象深い一台はフェラーリ250TRだといいます。

2014年に発足した「フェラーリ・オーナーズ・クラブ・ジャパン」(FOCJ)の発起人の一人であり、現在も名誉顧問を務めています。FOCJのイベントは、フェラーリ美術館跡地や軽井沢の別荘などを会場に開催されるなど、氏の影響力は現在も大きいと言えます。

実業家としての顔

松田氏は、モータースポーツとコレクション活動に加え、実業家としても成功を収めています。東京都在内に約20の駐車場や貸ビルを所有する不動産貸付業を営んでいます。

受賞歴

2006年には、イタリア共和国功労勲章コンメンダトーレを受章。その功績は、日本のみならずイタリアにおいても高く評価されています。

まとめ

松田芳穂氏は、モータースポーツへの情熱、類まれなコレクションセンス、そして鋭いビジネス感覚を兼ね備えた、稀有な存在です。その生涯は、日本の自動車文化史において重要な一ページを刻んでいます。 氏の功績は、今後も日本の自動車文化に大きな影響を与え続けることでしょう。

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