松菱

株式会社松菱について

株式会社松菱（まつびし、英称：Matsubishi Co., Ltd.）は、かつて静岡県浜松市に位置していた百貨店です。1937年に開店し、地域の商業の中心として繁栄しましたが、2001年に328億円の負債を抱え、経営破綻を迎えました。破綻時の社長は谷忠直で、所在地は中区鍛冶町124番地でした。松菱は、丸に松葉菱の商標を使用していました。

歴史

松菱の歴史は1936年に始まります。この年、浜松市に本館ビルの施工が開始され、大林組が工事を担当しました。その翌年の1937年には正式に設立され、浜松初の百貨店として6月1日に開店しました。

1945年、浜松空襲の際に被災しましたが、百貨店の本館は奇跡的に焼け残りました。その後、1949年には全売り場が再開され、1953年には沼津支店が開設されました。さらに1956年には静岡県内初のエスカレーターを設置し、1960年には全館冷房を取り入れました。

1971年に西武百貨店浜松店が開店しましたが、その後も松菱は浜松地区の商業中心として重要な役割を果たしました。1992年には新館を開店し、売場面積が静岡県内最大の25271m2となり、売上高も過去最高の262億円に達しましたが、その後は競合の影響や経済の停滞により業績が低迷しました。

経営悪化と破綻

1988年に新しい遠鉄百貨店が開業すると、松菱は急速に集客力を失い始めました。新館の建設や経営再建を試みるものの、経済環境や売上の減少が重なり、ついには2001年に経営破綻に至りました。

経営破綻の直接的な要因としては、積立金優待制度「松菱友の会」の資金流用が挙げられます。この制度は主に中高年主婦層に支持されていましたが、松菱は新館建設時の借入金返済に積立金を流用してしまい、最終的に破産に追い込まれました。破綻発表日は2001年11月14日で、当日は優待販売会が計画されていたため、開店前に多くの顧客が混乱に陥りました。

経営破綻の影響

松菱の破綻は浜松市に大きな影響を与えました。百貨店の閉店に伴い、周辺の商業施設も影響を受け、ザザシティ浜松の集客にも悪影響が出ました。百貨店業界全体の厳しさが増し、同市内のスーパーマーケット「松菱マート」も業績が急速に悪化し、最終的に民事再生法の適用を申請する事態になりました。

再開発と現在

松菱閉店後、再開発が決定され、2003年には松菱跡再生協議会が設立されました。その結果、浜松市の不動産会社アサヒコーポレーションが松菱の資産を取得し、商業施設の計画が進められました。最初はロフトが核となる計画であり、他の大手百貨店の誘致も試みられましたが、様々な要因により出店計画が流れました。

2017年から2019年にかけて浜松市は再開発を促進するよう勧告しましたが、跡地は現在も空き地の状態が続いています。松菱百貨店の名物だった松菱饅頭は製造元の秋芳堂によって今も販売されていますが、その歴史は地域の人々にとって深い記憶として残り続けています。

もう一度検索