松虫通

松虫通：大阪の東西を繋ぐ歴史と人々の生活を映す道

松虫通は、大阪市西成区の岸里交差点から平野区の平野馬場東交差点までを東西に貫く主要道路です。その歴史は、戦後の復興から現代の都市計画まで、幾多の変遷を辿り、現在も発展を続けています。

戦後復興と区画整理から始まる歴史

西成区の区間は、1950年代の戦災復興における区画整理事業の一環として整備されました。この区間は、1950年に策定された都市計画道路「木津川平野線」の大部分を占めています。木津川平野線は、西成区南津守から平野区に至る大規模な道路計画で、松虫通はその主要な構成要素となっています。

生活道路の拡幅と松虫塚

阿倍野区の区間は、かつての生活道路を拡幅する形で、1980年代初頭に開通しました。この区間は、1929年から周辺の町名にもなっているほど、地域住民にとって馴染み深い道路です。道路の名前の由来は、松虫通沿いにあった松虫塚です。拡幅工事の際には、塚の撤去も検討されましたが、地元住民の強い要望により残されることとなり、現在も松虫塚前の歩道は狭くなっています。このエピソードは、松虫通が単なる道路ではなく、地域住民の生活と深く結びついていることを示しています。

21世紀への延伸と今後の展望

東住吉区と平野区の区間は、2000年代初頭に開通しました。さらに、南海汐見橋線高架以西から阪神高速15号堺線側道下までの区間は、片側一車線の西行き一方通行の生活道路（西成区内では「新開通」と呼ばれています）として残っており、この区間の拡幅によって松虫通が延伸される計画があります。60年以上にわたって具体化が進んでいなかったこの計画は、2012年に事業認可告示が出され、2029年3月の完成を目指して工事が進められています。

地下には平野川調節池

聖天山公園付近（西成区・阿倍野区境界付近）より東側の松虫通の地下には、平野川調節池が建設されています。この調節池は、都市部における水害対策として重要な役割を果たしています。

沿線情報：地域に密着した生活道路

松虫通沿線には、多くの生活関連施設が立地しています。西成区には、Osaka Metro四つ橋線岸里駅、西成区役所、西成郵便局、西成図書館、大阪フィルハーモニー会館、南海本線・Osaka Metro堺筋線天下茶屋駅、阪堺電気軌道阪堺線北天下茶屋停留場・聖天坂停留場などがあります。阿倍野区には、聖天山、大阪市立松虫中学校、阪堺電気軌道上町線東天下茶屋停留場・松虫停留場、阿倍王子神社、安倍晴明神社、Osaka Metro御堂筋線昭和町駅、桃ヶ池公園、Osaka Metro谷町線文の里駅・田辺駅などがあります。東住吉区には、近鉄南大阪線北田辺駅、北田辺商店街、うるし堤公園、大阪市立白鷺中学校などがあります。これらの施設の存在は、松虫通が単なる交通路ではなく、地域住民の生活を支える重要なインフラであることを示しています。

接続道路：主要道路網との連携

松虫通は、なにわ筋、国道26号、あべの筋、あびこ筋、長居公園東筋、今里筋、国道309号、国道25号（国道165号と重複）・国道479号（大阪内環状線）など、大阪市の主要道路と接続しています。このことは、松虫通が大阪市の交通ネットワークにおいて重要な役割を果たしていることを示しています。

まとめ

松虫通は、戦後の復興から現代に至るまでの歴史を刻み、地域住民の生活に寄り添いながら発展を続けてきた道路です。松虫塚の保存や、長年計画が続けられてきた延伸工事など、その歴史には様々なエピソードがあり、単なる道路という枠を超えて、大阪の都市発展と人々の暮らしを映す、重要な存在となっています。今後、延伸工事が完了すれば、松虫通はさらに重要な役割を担うことになるでしょう。

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