板垣吉則

地方競馬を駆け抜けた名手、そして名調教師：板垣吉則

板垣吉則氏は、1972年9月3日生まれの地方競馬の調教師であり、元騎手です。山形県山形市出身。勝負服は胴黒・袖桃という組み合わせで知られています。幼少期から父に連れられて競馬場に足を運び、競馬の世界に魅せられた板垣氏は、上山競馬所属の騎手としてデビュー。1990年10月21日、ロンブエイトに騎乗し、騎手としての第一歩を踏み出しました。そして、同年11月19日にはマーチアゲンで初勝利を飾ります。

1992年には、ミヤカツエースで重賞初制覇。その後も数々の勝利を重ね、1997年には水戸賢二騎手の紹介でオーストラリアへ研修に行き、現地で勝利を収めるなど、国際的な経験も積みました。上山競馬では重賞18勝を含む通算907勝という輝かしい成績を収め、2000年と2001年にはリーディングジョッキーに輝きました。

上山競馬場が廃止された後、板垣氏は岩手競馬の水沢競馬場に移籍。千葉博厩舎に所属し、2004年には重賞4勝、特別競走8勝を含む82勝を挙げ、岩手競馬のリーディング4位という好成績を残しました。そして2005年には、地方競馬通算1000勝という偉業を達成しました。千葉博調教師の勇退に伴い、2008年には酒井仁厩舎へ移籍。2009年頃から病気により騎乗を休む機会が増えましたが、2010年には調教師免許試験に合格。同年5月30日、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ（ミスギンレイに騎乗）を最後に騎手生活に幕を閉じました。

騎手引退後すぐに厩舎を開業。2010年7月5日、管理馬初勝利を飾ると、その後も数々の活躍馬を送り出しました。2015年度には127勝を挙げ、岩手競馬の年間勝利数記録を45年ぶりに更新し、リーディングトレーナーの栄冠に輝きました。

騎手時代にはサイレントグリーン、サイレントエクセル、ヤマニンエグザルト、ビソウウエスタン、レビンマサといった名馬に騎乗し、数々の重賞レースを制しました。調教師となってからも、ラブミープラチナ、スーパーヴィグラス、ワタリルーブル、ハカタドンタク、コスモフィナンシェなど、多くの活躍馬を育成。特に近年ではキラットダイヤの活躍が目覚ましく、早池峰スーパースプリントを3連覇するなど、数々のタイトルを獲得しました。

1998年にはNARグランプリ優秀騎手賞を受賞。上山競馬時代には「柿ピー」という愛称で親しまれ、地元山形では有名な「板垣のピーナッツ」に由来していると言われています。父は山形桐紙の職人であり、現在は弟がその技術を継いでいるとのことです。

板垣吉則氏は、騎手として、そして調教師として、地方競馬に多大な貢献を果たした人物と言えるでしょう。その卓越した騎乗技術と、類まれな調教師としての才能は、多くの競馬ファンに長く記憶されることでしょう。数々の名馬との出会い、そして自身の努力によって築き上げた功績は、後進の指導者や騎手たちの大きな励みとなるに違いありません。その功績は、地方競馬の歴史に深く刻み込まれることでしょう。

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