板橋 (小田原市)

神奈川県小田原市板橋：歴史と文化が息づく街

板橋は、神奈川県小田原市の中央部に位置し、早川の北岸に広がる地域です。箱根登山鉄道箱根板橋駅を中心に、旧東海道が通り、歴史的な景観が残っています。この地域は、小田原市の中でも特に歴史が深く、多くの文化財や旧跡が点在しています。

地理と交通

板橋は、小田原市の中心部に位置し、早川に面しています。西には風祭、北には水之尾、荻窪、十字、東には城山、南には早川地区が隣接しています。地域内には小田原厚木道路や西湘バイパスが通り、小田原西インターチェンジも存在します。また、旧東海道が地域を横断しており、板橋見附交差点以西には旧道も残っています。

鉄道は、東海道新幹線が通っているものの、地域内に駅はありません。しかし、南部には小田急箱根鉄道線（箱根登山電車）が走り、箱根板橋駅が設置されています。これにより、箱根方面へのアクセスも容易です。

歴史

板橋の歴史は、北条氏康が小田原を治めていた時代に遡ります。当時、早川から取水した上水が小田原城下へと引かれました。この上水に板の橋が架けられたことから、この地域は板橋村と呼ばれるようになったと言われています。

小田原城の防衛拠点として、「板橋見附」が置かれ、1589年には小田原大外郭が築かれました。また、寺院の塀が防御壁として利用されたことから、地域内には多くの神社仏閣が点在しています。

北条氏支配時代から、この地域には熟練した職人が多く住んでいました。特に有名なのは、城の染物を担当した津田藤兵衛や、江戸城の石垣作りに貢献した石屋善左衛門です。

明治時代には、町村制施行により周辺の村と合併し、大窪村となり、村役場が板橋地区に置かれました。この庁舎は後に小田原市役所大窪支所として利用され、現在は「OTA MOKKO 太田木工」の工房・店舗として活用されています。

また、明治期には別荘地としても発展し、伊藤博文の滄浪閣をはじめ、山縣有朋の古稀庵、益田孝の掃雲台、清浦奎吾の皆春荘、大倉喜八郎の山月、松永安左エ門の老欅荘など、多くの著名人の別荘が建てられました。1918年には、北原白秋も近くに移り住んでいます。

1940年には、大窪村は小田原町等と合併し、小田原市となりました。

主な施設・建築物

板橋には、歴史的価値の高い建築物や施設が数多く残されています。

松永記念館：実業家で茶人でもあった松永安左エ門の邸宅「老欅荘」があり、野崎廣太の茶室「葉雨庵」も移築されています。国の登録有形文化財です。
古稀庵：政治家・山縣有朋が終の棲家として建てた場所で、庭園が一般公開されています。清浦奎吾の「皆春荘」も敷地内にあります。
山月：実業家・大倉喜八郎の別邸で、かつては旅館として利用されていました（現在は非公開）。
下田豆腐店：1900年頃創業の豆腐店で、現在は「TEA FACTORY 如春園」として活用されています。
元小田原市役所大窪支所：旧大窪村役場庁舎で、現在は「OTA MOKKO 太田木工」の工房・店舗として利用されています。
香林寺：曹洞宗の寺院で、「竹の小径」と呼ばれる小径があります。
板橋地蔵尊：旧東海道沿いにあり、1月と8月には大祭が行われます。戊辰戦争の慰霊碑も建っています。
秋葉山量覚院：修験宗の寺院で、「火防祭」が行われます。
旧朝倉邸：洋館で、現在は「薬膳喫茶KURA」として利用されています。
三淵邸・甘柑荘：初代最高裁判所長官・三淵忠彦の別荘で、NHK連続テレビ小説『虎に翼』のヒロインのモデルとなった三淵嘉子ゆかりの地でもあります。

現在の板橋

現在の板橋は、歴史的な建造物と豊かな自然が調和した、魅力的な地域です。住宅地としての側面を持ちながら、多くの史跡や文化財が残されており、観光地としても注目されています。地域内には、松永記念館や古稀庵などの施設があり、歴史や文化に触れることができます。また、旧東海道沿いには、趣のある古い建物が残り、散策を楽しむことができます。

まとめ

板橋は、小田原市の歴史と文化を深く感じられる地域です。かつての職人たちの技術や、著名人たちの別荘文化が今も息づいており、訪れる人々を魅了しています。歴史的な建造物や豊かな自然を満喫できる板橋は、小田原観光において外せないスポットと言えるでしょう。

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