林太一郎

林太一郎（はやし たいちろう）

林太一郎は、1856年11月12日（安政3年10月15日）に生まれ、1914年（大正3年）9月2日に没した、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。

生い立ちと初期のキャリア

林太一郎は、能登国鹿島郡中挟村（現在の石川県七尾市）で、林太郎平の三男として生まれました。1876年（明治9年）に石川県師範学校を卒業後、鹿島郡内の小学校で教員として勤務しました。しかし、1877年（明治10年）4月に陸軍教導団に入団し、軍人の道へと進みます。1878年（明治11年）10月には歩兵科を卒業し、軍曹に任官して大阪鎮台に配属されました。その後、1881年（明治14年）12月に陸軍士官学校（旧4期）を卒業し、歩兵少尉に任官。翌1882年（明治15年）1月には歩兵第8連隊付となりました。

軍人としての昇進と活躍

1886年（明治19年）12月、林は陸軍大学校（2期）を卒業し、軍人としてのキャリアをさらに積んでいきます。1887年（明治20年）4月には参謀本部陸軍部第1局課員に就任。その後、1887年（明治22年）5月には陸大教官に転じ、後進の指導にあたります。1893年（明治26年）11月、歩兵少佐に進級し歩兵第6連隊付となり、日清戦争に出征しました。

日清戦争後、1896年（明治29年）3月には台湾守備混成第3旅団参謀長に就任、1898年（明治31年）10月には歩兵中佐に進み、東部都督部参謀となります。1899年（明治32年）9月には歩兵第48連隊長に就任、1901年（明治34年）2月には第8師団参謀長に転じ、同年11月には歩兵大佐に昇進しました。1902年（明治35年）1月には、隷下の歩兵第5連隊による八甲田山雪中行軍遭難事件が発生し、その対応にあたっています。

日露戦争にも出征し、1905年（明治38年）1月には少将に進級、歩兵第29旅団長に発令されました。その後、韓国駐箚軍付を経て、1908年（明治41年）12月には近衛歩兵第1旅団長に転じました。1911年（明治44年）9月には中将に進み、第7師団長に親補されました。

退役と晩年

1914年（大正3年）5月に待命となり、腎臓病の加療中に同年9月、東京市牛込区市ヶ谷町の自宅で亡くなりました。

栄典

1912年（明治45年）4月30日には正四位を授与されています。

まとめ

林太一郎は、教育者から陸軍軍人へと転身し、日清・日露戦争といった数々の戦役で活躍しました。また、陸軍大学校教官や師団長といった要職を歴任し、日本の陸軍の発展に貢献した人物と言えるでしょう。

参考文献

福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
桑原嶽『市ヶ谷台に学んだ人々』文京出版、2000年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
『大正過去帳 物故人名辞典』東京美術、1973年。
鹿島郡自治会編『石川県鹿島郡誌』鹿島郡自治会、1928年。
* 陸軍省編『陸軍現役将校同相当官実役停年名簿 大正3年7月1日調』陸軍省、1914年。

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