関口氏心

関口氏心とは

関口氏心（せきぐち うじむね、1598年 - 1670年）は、江戸時代初期の日本における柔術家で、関口新心流を創設した人物です。彼は、名古屋の北部に位置する三河国長沢村（現在の愛知県豊川市）で生まれ、武道の才能を早くから発揮しました。氏心の本名は氏心で通称は弥六右衛門、また柔心という号でも知られています。彼の子供たちには、八郎左衛門（第二代宗家）、萬右衛門（第三代宗家）、弥太郎（第四代宗家）など、歴史に名を刻んだ人物が揃っており、その名には彼の先祖である源八幡太郎義家の影響が見られます。

生い立ちと武道の修行

関口氏心の家系は今川氏の分家であり、歴代の関口家は宗家の今川家に仕えていました。しかし、徳川家康の正室である築山殿が関口氏に由来することから、今川氏真との関係が悪化し、氏心の家族は松平氏、つまり徳川氏に仕えることとなりました。彼の父である関口氏幸も松平信康に仕えていました。

氏心は幼い頃から武芸に秀でており、特に組討に関しては卓越した才能を持っていました。彼は廻国修行の許可を受け、さまざまな流派から技術を習得しました。特に、林崎甚助からは神夢想林崎流の抜刀術を、三浦義辰からは三浦流柔術を学びます。

受け身の習得

ある日、氏心は屋根から猫が落ちても1回転して無事に着地する様子を目撃しました。この経験から彼は、高度な受け身を習得する必要性を感じ、自らも屋根から落ちることで修行を重ね、見事な受け身技術を体得しました。このような独自の工夫により、彼は柔術の新しい流派である関口新心流を開くことになります。

実績と流派の発展

関口新心流は、氏心が松平飛騨守や本多甲斐守のもとで修行を続けた後、1639年には紀州徳川家の柔術指南役として徳川頼宣に仕官しました。この流派は紀州藩において御流儀として認められ、江戸時代を通じて広がりを見せました。関口新心流は、多くの弟子を育て、さらなる発展を遂げ、江戸時代において最も影響力のある柔術流派のひとつとなりました。

文学と漫画に描かれる関口柔心

関口氏心は、彼を題材にした文学作品や漫画にも登場しています。たとえば、山田風太郎の小説「魔界転生」や近衛龍春の「水の如くに」などがあります。また、夢枕獏による「ヴィラネス ー真伝・寛永御前試合ー」という漫画作品にも彼の名前が見受けられます。これらの作品は、彼の歴史的背景や武士道精神を後世に伝える役割を果たしています。

まとめ

関口氏心は、その武道の技術だけでなく、流派の創設を通じて江戸時代の柔術の発展に大きく寄与しました。彼の生涯や家族背景、そして武士道精神は、今日の武道だけでなく、日本の文化においても重要な意味を持ち続けています。

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