林謙一

林謙一（1906年11月6日 - 1980年11月1日）は、日本の随筆家であり、ジャーナリスト、情報官としても活動しました。

東京に生まれた林は、早稲田大学理工学部建築学科を卒業後、東京日日新聞（現在の毎日新聞）の記者としてキャリアをスタートさせました。その後、内閣情報部事務嘱託として、写真週報の創刊に携わるなど、報道分野で活躍しました。

戦時中は、情報局情報官、海軍司政官として活動しました。敗戦後は、日本交通公社全日本観光連盟で業務部長を務め、退職後は随筆家としての活動を本格化させました。

1962年には、婦人画報に連載した母の生涯を描いた随筆が、NHKで単発ドラマ『おはなはん一代記』として放送され、芸術祭奨励賞を受賞しました。このドラマは、1966年に連続ドラマ『おはなはん』としてリメイクされ、NHK朝の連続テレビ小説として放送され、大きな話題を呼びました。脚本は小野田勇が担当しました。

林は、文筆活動と並行して、日曜画家としても知られ、全国日曜画家連盟の同人幹事も務めました。その趣味と実体験を活かして、絵画やカメラに関する実用書を多数執筆しました。また、海外旅行の経験から、スケッチ旅行に関する著作も発表しています。

林の著書には、写真集『野尻湖』、絵画に関する『日曜画家』、『油絵のすすめ』、カメラに関する『日曜カメラマン』、随筆集『おはなはん』、『サンドイッチ親爺』、『2Bの鉛筆』、旅行記『ヨーロッパスケッチ旅行』などがあります。また、チャーチルの『描く楽しさ』、ハンス・バウアーの『スイスのすべて』などの翻訳も手掛けました。

林の息子は脚本家の林秀彦で、孫には作曲家の林魏堂、脚本家の岩崎リズがいます。

林謙一は、多才な才能を発揮し、ジャーナリスト、情報官、実業家、随筆家、画家として、幅広い分野で足跡を残しました。

主な著書

『野尻湖 報道写真集』フオトタイムス社、1940
『日曜画家』池田書店　1960
『日曜カメラマン』池田書店　1962
『おはなはん』文芸春秋　1966
『サンドイッチ親爺』佑啓社　1968
『日曜画家ハンドブック』池田書店・実用新書　1969
『2Bの鉛筆』文芸春秋　1974
『油絵のすすめ 初めての絵筆から個展まで』講談社　1977　のち創英社
『ヨーロッパスケッチ旅行』講談社　1979

主な翻訳

チャーチル『描く楽しさ』美術出版社　1951
ハンス・バウアー『スイスのすべて』スイス国立観光局　1963

参考文献
『油絵のすすめ』著者紹介
* 白山眞理; 栗村恵美 編『情報官・林謙一が見た昭和16年富士山観測所』JCIIフォトサロン、2015年。

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