林秀彦

林秀彦（はやし ひでひこ）

1934年9月26日、東京府に生まれた脚本家、林秀彦は、その波乱万丈な人生と、多彩な才能で知られています。2010年11月19日、肺炎のため福岡県久留米市にて76歳で逝去しました。

生い立ちと海外留学

父は随筆家の林謙一で、幼少期から文学に親しむ環境で育ちました。学習院高等科卒業後、ヨーロッパへの旅の途中、イエメンで悪漢に拉致されるという危機に遭遇。しかし、持ち前の機転と度胸で窮地を脱しました。このエピソードは、後に伊丹十三によって『小説より奇なり』で紹介されています。その後、ドイツのザール大学、フランスのモンペリエ大学に留学し、哲学を専攻しました。

脚本家としての活躍

帰国後、松山善三に師事し、脚本家としてのキャリアをスタートさせました。数多くの映画やテレビドラマの脚本を手がけ、その作品は、時代を反映した社会派ドラマから、家族の日常を描いたものまで多岐にわたります。

主な作品として、テレビドラマでは「七人の刑事」、「若者たち」、「鳩子の海」など、映画では「昨日のあいつ今日のおれ」などがあります。また、小説家としても才能を発揮し、「鳩子」シリーズや「生きるための情熱としての殺人」などの作品を執筆しました。

結婚と家族、そして晩年

3度の結婚を経験し、最初妻との間に生まれた子は作曲家の林魏堂です。1974年には女優の冨士真奈美と結婚し、一女（岩崎リズ）をもうけましたが、1984年に離婚しました。1988年から2005年までオーストラリアに在住し、帰国後は大分県九重町で晩年を過ごしました。

その他の活動

脚本家、小説家としての活動以外にも、著述家として「父親がする娘教育」や「非婚のすすめ」など、幅広いテーマで執筆活動を行いました。また、ラジオ番組のパーソナリティとしても活躍しました。

林秀彦は、その波乱万丈な人生経験と、多岐にわたる才能を生かし、日本のエンターテイメント界に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、その思想は、現代社会においても、様々な問いを投げかけています。

主な作品リスト

脚本

七人の刑事（TBS）
昨日のあいつ今日のおれ (1965年、松竹)
ただいま11人（1964年、TBS）
若者たち（1966年、フジテレビ）
妻と女の間（1969年、毎日放送）
安ベエの海（1969年 - 1970年、TBS）
体の中を風が吹く（1973年、NHK）
新十郎捕物帖・快刀乱麻（1973年、朝日放送）
鳩子の海（1974年、NHK）
ホームスイートホーム（1982年、日本テレビ）
名門私立女子高校（1984年、日本テレビ）
生きるための情熱としての殺人（2001年、テレビ朝日）

小説

『鳩子 1 (海流篇)』日本放送出版協会、1974年7月25日。
『鳩子 2 (風紋篇)』日本放送出版協会、1974年12月1日。
『鳩子 3 (天象篇)』日本放送出版協会、1975年4月1日。
『生きるための情熱としての殺人』（1981年、創林社）

著書

『父親がする娘教育』〈ゴマブックス〉、ごま書房、1980年5月1日。
『ちょっといい女・気になる女 : なぜその女性に魅かれるのか』日本実業出版社、1982年4月20日。
『大地震大虐殺 : 九月の狂気』潮出版社、1983年8月25日。
『女と別れた男たち』創林社、1983年12月31日。
『非婚のすすめ』フォー・ユー、1987年5月10日。
『ジャパン、ザ・ビューティフル』（1996年、中央公論新社）
『「みだら」の構造』（2000年、草思社）
『失われた日本語、失われた日本』（2002年、草思社）
『悲しいときの勇気－日本人のための幸福論』（2003年、明成社）
『日本人はこうして奴隷になった』（2008年、成甲書房）
『日本の軍歌は芸術作品である。』（2008年、PHP研究所）
『911・考えない・日本人』（2008年、成甲書房）
『おテレビ様と日本人』（2009年、成甲書房）
『憎国心のすすめ』（2009年、成甲書房）

出演
* FMモーニング東京（FM東京）

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