柘植保重

柘植保重（つげ やすしげ）

柘植保重は、生年不詳ながら天正7年（1579年）に没した、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。織田信長の家臣として知られ、通称は三郎左衛門と称しました。

生涯

柘植氏は出自について確証が得られていませんが、伊賀国の土豪・福地宗隆の子であるという説や、滝川雄利の姉の夫、あるいは雄利の実父であるという説が存在します。

当初、伊勢国の国司であり戦国大名であった北畠具教の実弟・木造具政に仕えていました。織田信長が伊勢攻めを開始すると、具政に対して北畠家から寝返るように説得し、滝川雄利らと共に信長に降伏しました。この際、保重が北畠家に人質として差し出していた妻子は磔に処されたと伝えられています。

永禄12年（1569年）、信長の軍勢7万（実際には5万とも）が北畠領に侵攻すると、織田軍と共に国司・北畠具房（具教の子）が居城とする大河内城を攻めました。信長の次男・茶筅丸（後の織田信雄）を北畠家の養子に入れることで具房は織田家と和睦し、これ以降、保重は茶筅丸付きの家老となりました。

天正4年（1576年）の三瀬の変では、保重は長野左京亮、藤方朝藤の家臣・加留左京らと共に、北畠具教とまだ幼い徳松丸、亀松丸らを討ち取るために三瀬御所へ向かい、彼らを殺害しました。ただし、『勢州軍記』では、三瀬御所ではなく大河内御所である大河内教通の宿泊所を襲撃したとされています。

天正7年（1579年）、主君である信雄に従い、日置大膳亮らと共に伊賀国に攻め込みましたが、信雄軍は伊賀の諸豪族の激しい抵抗に遭い、戦況は不利となりました。撤退の際、殿軍を務めていた保重は、伊賀側の植田光次によって討たれました。これが第一次天正伊賀の乱における出来事です。

柘植保重は、主君を裏切るという決断を下し、最終的には戦場で命を落とすという、激動の戦国時代を象徴する人物の一人と言えるでしょう。

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