柯潜

柯潜（かせん、1423年 - 1473年）は、明代中期に活躍した学者であり、官僚です。字は孟時（もうじ）、号は竹巌（ちくがん）と称しました。本貫は興化府莆田県（現在の福建省莆田市）にあります。

生い立ちと官歴

柯潜は、柯淳（かじゅん、字は原朴）と戴宜人（たいいじん）の間に生まれました。1451年、景泰2年に科挙に合格し、その中でも最上位である状元（じょうげん）に輝きました。この功績により、翰林院修撰（かんりんいんしゅうさん）に任じられ、官僚としてのキャリアをスタートさせます。

翌1452年4月には、右春坊右中允（うしゅんぼううちゅういん）となり、修撰も兼任。5月には『歴代君鑑書』の編纂に参加するなど、早くからその才能を発揮しました。1454年2月には、礼部会試（れいぶかいし）の同考試官を務め、5月には『寰宇通志』（かんうつうし）の編纂にも携わりました。1456年5月、『寰宇通志』が完成すると、柯潜は司経局洗馬（しけいきょくせんば）に転じ、1457年には尚宝司少卿（しょうほうししょうけい）に昇進し、引き続き修撰も兼任しました。

1459年2月には、『玉牒』（ぎょくちょう）の編纂にも参加しました。1464年、成化帝が即位すると、柯潜は旧宮の官僚として翰林院学士（かんりんいんがくし）に抜擢され、さらにその才能を認められます。

1467年5月、『英宗実録』（えいそうじつろく）が完成すると、柯潜は翰林学士を兼ねたまま、詹事府少詹事（せんじふしょうせんじ）に転じました。この頃、慈懿皇太后（じいこうたいごう）が崩御した際、柯潜は修撰の羅璟（らけい）とともに、太后を裕陵（ゆうりょう）に合葬するよう上奏しました。この上奏に対し、廷臣から異論が相次ぎましたが、柯潜は羅璟と再び上疏し、最終的に太后は裕陵に合葬されることとなりました。この事績は、柯潜の強い信念と行動力を示すものとして知られています。

晩年と業績

その後、父母が相次いで亡くなったため、柯潜は官を辞して喪に服しました。1471年4月、成化帝が国子祭酒（こくしさいしゅ）として復帰させようとしましたが、柯潜は服喪期間が終わっていないことを理由にこれを辞退しました。

1473年8月11日（9月3日）、柯潜は51歳でその生涯を閉じました。

柯潜は、その生涯を通じて学問に励み、多くの書物を編纂しました。特に『寰宇通志』や『英宗実録』の編纂には深く関わり、明代の歴史研究に大きく貢献しました。また、慈懿皇太后の合葬を実現させたことは、彼の強い正義感と行動力を示すものとして、後世に語り継がれています。著書には『竹巌集』（ちくがんしゅう）8巻があります。

参考文献

『明史』巻152 列伝第40
少詹事柯公伝（徐紘『明名臣琬琰録』巻13所収）

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