柳 (桃型駆逐艦)

駆逐艦「柳」（初代）

駆逐艦「柳」は、大日本帝国海軍の桃型駆逐艦の4番艦として建造されました。同名艦に松型駆逐艦の「柳」が存在するため、区別するために「柳 (初代)」、「柳I」と表記されることもあります。

艦歴

「柳」は1916年（大正5年）10月21日に佐世保海軍工廠で起工され、1917年（大正6年）2月24日に進水、同年5月5日に竣工しました。

第一次世界大戦（1917年 - 1919年）では、地中海方面へ派遣され、連合国軍の輸送船団護衛任務に従事しました。これは、日英同盟に基づき、日本海軍が地中海方面へ戦力を派遣した一環です。

1932年（昭和7年）の第一次上海事変においては、揚子江水域での作戦に参加し、中国方面での作戦行動を支援しました。

1940年（昭和15年）4月1日に除籍された後、佐世保海兵団の練習船として使用されました。太平洋戦争終結後、解体され、その船体は北九州市若松区の若松港において防波堤の一部として利用されています。この防波堤は「軍艦防波堤」と呼ばれ、現在もその一部を見ることができます。

艦長

歴代艦長は以下の通りです。

艤装員長
緒方末記 少佐：1917年1月20日 - 3月15日
（兼）岩崎本彦 少佐：1917年3月15日 -
駆逐艦長
岩崎本彦 少佐：1917年3月15日 - 1918年11月1日
山本松四 少佐：1918年11月1日 - 1919年12月1日
渡辺彝治 少佐：1919年12月1日 - 12月8日
（心得）松野省三 大尉：1919年12月8日 - 1920年6月1日
和田省三 少佐：1920年6月1日 - 1920年12月1日
加来博胤 少佐：1920年12月1日 - 1921年12月1日
高山忠三 少佐：1921年12月1日 - 1923年12月1日
武田喜代吾 少佐：不詳 - 1926年2月1日
津田源助 少佐：1926年2月1日 - 1928年2月10日
江口松郎 少佐：1928年2月10日 - 1928年12月10日
橘正雄 大尉：1928年12月10日 - 1929年11月1日
小西要人 大尉：1929年11月1日 - 1930年4月20日
大西敬一 少佐：1930年4月20日 - 1930年7月8日
萱場松次郎 少佐：1930年7月8日 - 1930年11月1日
杉野修一 大尉：1930年11月1日 - 1932年11月15日
柳川正男 大尉：1932年11月15日 - 1934年1月11日
（兼）橘雄次 少佐：1934年1月11日 - 1934年2月1日
（兼）近野信雄 少佐：1934年2月1日 - 1934年2月20日
（兼）赤沢次寿雄 大尉：1934年2月20日 - 1934年7月25日
（兼）小西要人 少佐：1934年7月25日 - 1934年11月15日
* （兼）岡林子郎 大尉：1934年11月15日 - 12月15日

軍艦防波堤について

北九州市若松区の軍艦防波堤として現存しているのは、この初代「柳」です。高塔山公園忠霊塔慰霊碑には2代目「柳」とありますが、そちらは青森県沖で座礁・沈没しており、若松の防波堤は地中海遠征に参加した初代であることが確認されています。

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