柳沢経隆

柳沢経隆：甲府新田藩主から越後黒川藩主へ

柳沢経隆は、江戸時代中期の甲斐甲府新田藩主、そして越後黒川藩の初代藩主として知られています。有名な側用人、柳沢吉保の四男として誕生しました。母は側室の正親町町子（田中氏とも呼ばれています）。

経隆の幼名は安通、伊織。江戸の神田橋邸で生まれ育ちました。将軍徳川綱吉の命により、元禄8年（1695年）に横手姓を名乗り、その後、元禄14年（1701年）には松平姓を名乗ることを許されています。

宝永6年（1709年）、父吉保から1万石を分与され、甲府新田藩の藩主となりました。翌宝永7年（1710年）には元服を迎え、正式に藩主としての道を歩み始めます。甲府新田藩主としては、藩政の安定に尽力したと推察されますが、具体的な事績については史料が不足しており、詳細は不明な点が多いです。

享保9年（1724年）には、甲斐国から越後国黒川へ移封されました。しかしながら、その翌年の享保10年（1725年）、わずか32歳という若さで亡くなりました。跡継ぎとなる子がなかったため、柳沢保教の五男である柳沢里済が養子として家督を継承することになります。

経隆の生涯は短かったものの、名門柳沢家の血筋を受け継ぎ、甲府新田藩、そして越後黒川藩の藩主として重要な役割を担いました。彼の在職期間は短く、詳細な藩政については不明な点も多いですが、父吉保の政治手腕や影響を色濃く受け継ぎながら、藩の維持発展に尽力したと考えられます。

経隆の官位は従五位下、刑部少輔に叙任されています。正室は正親町直子（正親町公通の娘）でした。法号は実山勝義天休院、墓所は東京都新宿区市ヶ谷河田町の正覚山月桂寺にあります。

柳沢経隆の人生は、華麗な出自と短くも重要な役割を担った藩主としての生涯という、対照的な要素が混在しています。彼の短い生涯は、歴史の影の部分に隠されている部分も多く、今後の更なる研究が待たれるところです。父吉保の影に隠れてしまいがちですが、彼自身の功績や人物像を明らかにすることで、江戸時代中期の歴史像をより深く理解することに繋がると考えられます。

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