柳澤紀子

柳澤紀子



柳澤紀子(やなぎさわ のりこ、1940年5月30日 - )は、日本の版画家、美術家、学者武蔵野美術大学造形学部教授を務めた。

略歴



静岡県浜松市に生まれ、東京藝術大学大学院を修了後、アメリカ合衆国ニューヨーク州で美術を学んだ。帰国後は静岡県掛川市を拠点にアーティストとして活動し、精力的に作品を発表。

1940年静岡県浜松市に生まれる。
1965年:東京藝術大学大学院修了。
1971年~1975年:ニューヨークに滞在し制作活動を行う。
1992年:文化庁在外研究員としてロンドンに滞在。
2003年~2011年:武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画研究室教授

人物



東京芸術大学では林武に油彩を学び、ゴーギャンの影響を受けたと語る。駒井哲郎から銅版画の手ほどきを受け、土俗的な情熱と都会的な感性の融合を追求した。
ニューヨーク滞在中にはアンディ・ウォーホルの作品に触発され、シルクスクリーンの世界に目覚める。
イサム・ノグチらアメリカのアーティストにも造詣が深い。
夫は元衆議院議員の柳澤伯夫。娘は関西学院大学神学部准教授柳澤田実

作品



東京藝術大学では油絵を専攻していたが、後に版画へと転向。エッチングなどの技法を用いた銅版画を中心に制作している。横幅50メートルを超える壁画なども手掛ける。
「身体と精神の関係」をテーマとし、人体にアンモナイト、翼、舟、水、樹木などのイメージを重ね合わせ、人と自然、文明、時間など多様なテーマを表現している。
3.11以前から核をテーマにした作品や、和紙を活用したミクストメディアによる大作にも取り組む。

作品の主要なモチーフ



人体: アフリカの男性との出会いが原点。ワークショップで出会った黒人たちの肉体からインスピレーションを得た。
翼: ニューヨーク以後によく描かれるモチーフ。重い翼を描くことで、軽やかさとは異なる表現を追求。
犬: インドのベナレスで見た犬たちがきっかけ。焼き場に集まる犬たちの姿に感銘を受け、描き始めた。
廃船: 朽ちていく舟を通して、ぎりぎりの状況で生きる姿を描きたいという思いを込めている。
水: 浜名湖のほとりで生まれ育った経験から、水は原初とのつながりを象徴するモチーフとなっている。
アンモナイト: エロティックで有機的な形態に、大地の版画のような魅力を感じている。

職歴



文化庁特別派遣芸術家在外研修員
武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻教授
財団法人イサム・ノグチ日本財団評議員

受賞歴



日本版画協会展日本版画協会賞
静岡文化奨励賞
1963年:サロン・ド・プランタン賞(東京芸術大学
1964年:第32回日本版画協会賞(「聖」「Lips」)
1999年:東京ステーションギャラリー賞(水邊の庭'99)
2001年:第10回山口源大賞(水邊の庭V)
2011年:紺綬褒章

評価



日本の版画家トップ50に入る実力を持つと評され、斬新でユニーク、独創性あふれる作品を生み出すことで知られている。

主なパブリックコレクション



国内



東京藝術大学美術
埼玉県立近代美術
宮崎県立美術館
茨城県近代美術
静岡県教育委員会
東日本鉄道文化財団
池田20世紀美術館
掛川市二の丸美術
掛川市中央図書館
黒部市美術
静岡市立中央図書館
沼津市庄司美術
浜松市美術館
浜松市楽器博物館
町田市立国際版画美術
松本市美術館
磐田市福田健康福祉会館
酒田市美術
城西国際大学水田美術
常葉大学美術
武蔵野美術大学美術資料図書館
駿府博物館
平野美術

海外



テイコティン日本美術館(イスラエル)
サークレーギャラリー スミソニアン (米国)
サンフランシスコ市立美術館 (米国)
米国議会図書館
バングラデシュ・シルバカラアカデミー
ブルガリアナショナルギャラリー
ルーマニア国立美術
浙江美術

書籍



柳澤紀子 全作品1964-2017 阿部出版
浙江・静岡文化芸術交流 柳澤紀子版画作品展 浙江人民美術出版社 浙江美術館編

外部リンク



公式サイト
MAU-油絵学科研究室 - 武蔵野美術大学造形学部の公式ウェブサイト内の教員を紹介するページ。
* 鎌倉画廊

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