柳生忍法帖

『柳生忍法帖』

『柳生忍法帖』（やぎゅうにんぽうちょう）は、著者山田風太郎による時代小説のひとつであり、忍法帖シリーズに属する作品です。この作品は、1962年から1964年にかけて『岩手日報』などで連載され、その後単行本が刊行される際に改題されました。

作品の概要

物語は江戸時代の会津藩を舞台に、悪政を敷く藩主加藤明成に立ち向かう7人の女性の奮闘を描いています。この作品は、健気な女性たちによる勧善懲悪のストーリーとして展開され、作者は「弱者が強敵を討つ」というテーマをもとに物語を作ることを考えましたが、7人では勝ち目が薄いため、剣豪・柳生十兵衛を助っ人として迎えることにしました。

本作は忍法帖に分類されるものの、通常の忍法帖シリーズとは異なり、実際に忍者が登場せず、忍法を使うキャラクターもほとんど見られません。そのため、多くの例外的要素が含まれ、分量も他の作品を上回る内容となっています。また、珍しく大団円で終わることも特徴的です。柳生十兵衛は山田風太郎作品の中でも特に人気の高いキャラクターであり、本作は『魔界転生』や『柳生十兵衛死す』と共に「十兵衛三部作」とされることもあります。

あらすじ

物語は寛永19年（1642年）、会津藩主加藤明成が行った悪政によって引き起こされる「会津騒動」に始まります。国家老の堀主水は、明成に見切りを付け、一族を連れて会津を離れることを決意します。しかし、明成は殿様としての権力を強化し、堀一族を捕縛し、連行中に尼寺東慶寺に潜む女性たちを襲撃します。この事件では、会津七本槍と呼ばれる彼の家来によって、堀一族の女性たちが惨殺されます。

事件が起こった後、千姫の登場によって騒ぎは収束しますが、唯一助けられたのは堀主水の娘・お千絵を含む7人の女性だけでした。堀一族の男性たちは処刑されましたが、生き残った女性たちは明成と七本槍への復しゅうを誓います。千姫は彼女たちを支援しますが、男性の助けを借りることは許さず、女性たち自身の力で復しゅうを果たすよう願います。

しかし、敵の七本槍はそれぞれが武芸の達人であり、女たちだけでは太刀打ちできない状況です。そうした中、沢庵和尚は柳生十兵衛に女性たちの師範としての役割を依頼します。十兵衛は、自身が女たちを教えることに興味を持ちますが、女たちとの関係に苦しむことになります。果たして彼らは会津七本槍を討ち果たすことができるのでしょうか、そして明成に裁きを下せるのか、物語は緊張感を持って展開されます。

主な登場人物

• - 柳生十兵衛三厳（やぎゅう じゅうべえ みつよし）: 剣の天才児として知られる剣客。堀一族の女性たちに武芸を指導する役目を引き受けますが、女性への苦手意識を持っています。
• - 沢庵宗彭（たくあん そうほう）: 高僧で武芸にも通じる人物。千姫の依頼で十兵衛を紹介し、仇討ちに協力します。
• - 天樹院千姫（せんひめ）: 徳川家康の孫で、復讐劇を支援する役割を果たします。
• - 会津七本槍: 明成の家来たちで、堀一族の女性たちをターゲットにした武芸の達人たちです。彼らとの戦いがストーリーの中心となります。

メディア展開

本作は漫画化され、Y十Mによって『ヤングマガジン』に連載されました。また、映画化や舞台化もされ、各メディアにおいて多くの人々に親しまれています。

このように『柳生忍法帖』は、会津藩の陰謀と女性たちの壮絶な復讐劇を交えた独特な時代小説であり、読み手に強い感動を与えます。

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