柳田誠二郎

柳田誠二郎：日本航空初代社長、激動の生涯

柳田誠二郎（やなぎた せいじろう）は、1893年（明治26年）に栃木県足利町で生まれ、1993年（平成5年）に100歳で没した日本の実業家です。彼は、日本航空（JAL）の初代社長として、戦後の日本の航空業界の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

柳田は、足利の生糸商の家に次男として生まれました。幼少期に諸井家の養子となり、京華中学校、第一高等学校を経て、1917年（大正6年）に東京帝国大学経済学部を卒業。その後、日本銀行に入行し、キャリアをスタートさせました。

日銀では、ロンドン駐在や各支店長などを経て、1942年（昭和17年）に理事に昇進。1945年（昭和20年）には副総裁に就任しましたが、戦後の混乱期に公職追放を受け、日銀を去ることになります。

苦難の時代と日本航空への転身

公職追放中は、計理士の免許を取得し、自宅で事務所を開業。その後、追放解除後の1951年（昭和26年）に、藤山愛一郎の推薦を受け、日本航空の社長に就任しました。当時の日本航空は、まだ黎明期であり、柳田は、その基盤を築き上げるという重責を担うことになります。

日本航空社長としての功績

柳田は、日本航空の社長として、国内外の路線拡大、機材の近代化、サービスの向上などに尽力し、日本航空を世界的な航空会社へと成長させました。また、日本航空ホテルや日本航空整備などの関連会社を設立し、事業の多角化も進めました。

1961年（昭和36年）に日本航空社長を辞任し、海外経済協力基金総裁に就任。その後も、日本航空相談役や日本航空協会会長などを務め、日本の航空業界の発展に貢献し続けました。

人物像と家族

柳田は、禅宗を信仰し、趣味はゴルフ、将棋、長唄という多趣味な人物でした。大学時代は猛勉強し、禅宗にも打ち込み、精神修養に励んだといいます。また、家族を大切にし、妻・美代子との間に三男をもうけました。三男の柳田宏も日本航空の常務を務めました。

晩年と死

柳田は、1993年（平成5年）に老衰のため、東京都渋谷区の自宅で100歳という長寿を全うしました。その生涯は、激動の時代を生き抜き、日本の航空業界の発展に大きく貢献した、まさに日本の航空史を代表する人物の一人と言えるでしょう。

年譜

1893年（明治26年）：栃木県足利町（現足利市）に生まれる。
1917年（大正06年）：東京帝国大学経済学部卒業。日本銀行へ入行。
1945年（昭和20年）：日本銀行副総裁に就任。
1946年（昭和21年）：公職追放で辞職。
1951年（昭和26年）：日本航空社長に就任。
1961年（昭和36年）：日本航空社長辞任。海外経済協力基金総裁に就任。
1993年（平成05年）：死去（100歳没）。

関連作品

『エアガール』 - 2021年のテレビ朝日系スペシャルドラマ。作中に柳田誠二郎をモデルとした人物が登場。

柳田誠二郎の生涯は、日本の航空史における重要な一ページであり、彼の功績は、今日の日本の航空業界の発展に深く根ざしています。

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