柳興洙

柳興洙（ユ・フンス）：激動の時代を生き抜いた政治家・外交官

柳興洙（ユ・フンス、1937年12月3日 - ）は、大韓民国の政治家、外交官です。警察庁長官、忠清南道知事、第12・14・15・16代国会議員、駐日大韓民国大使などを歴任し、激動の時代の日韓関係に深く関わりました。日本統治時代に生まれた最後の駐日韓国大使としても知られています。

生い立ちと初期のキャリア

柳興洙は、日本統治下の慶尚南道陜川郡で生まれました。小学校5年生まで日本で過ごし、日本語に堪能でした。朝鮮戦争勃発直前に釜山に移り住み、京畿高等学校、ソウル大学校法科大学を卒業後、1962年に高等考試行政科に合格して内務部に入部。警察組織でキャリアを重ね、1980年には治安本部本部長（現在の警察庁長官）にまで上り詰めました。

政治家としての歩み

1982年、柳興洙は第21代忠清南道知事に任命され、2年間務めた後、全斗煥政権下で大統領秘書室政務第2首席秘書官に就任しました。1985年には民主正義党から国会議員に立候補し当選。1986年には交通部次官となりました。1988年の選挙では落選しましたが、1992年に返り咲き当選を果たし、2004年に引退するまで通算で4期を務めました。

駐日大韓民国大使として

2014年7月、柳興洙は次期駐日大使に内定し、日本政府の同意を得た上で8月20日に韓国政府より任命されました。76歳という高齢での就任には不適切との声もありましたが、日本に通じた人物の大使指名は、朴槿恵大統領の日韓関係を重視する意向を反映したものとされました。柳興洙自身も関係改善に意欲を示し、2015年12月の日韓外相会談で慰安婦問題日韓合意が成立し、両国関係が改善に向かうきっかけを作りました。2016年4月6日に辞意を表明し、6月30日に退任しました。

日本との深い繋がり

柳興洙は、大韓民国において日本通の代表的な人物とされています。幼少期を日本で過ごした経験から日本語に堪能であり、国会議員時代には韓日議員連盟幹事長、国会統一外交通産委員長などを務めました。議員落選中には京都大学で1年間の研修も行っています。中曽根康弘元首相、森喜朗元首相、安倍晋太郎元外相など、日本の政治家とも親交が深く、特に安倍晋太郎とは親密な関係を築きました。

慰安婦問題日韓合意後、日韓両国は慰安婦像設置を巡り対立を深めていきましたが、柳興洙は日韓関係の重要性を訴え続けました。2017年には、韓国国民の日本に対する感情が良くないのは、日本が韓国に与えた悲運の歴史が原因であるとしながらも、国益のために日韓関係を改善していくべきだと述べています。また、文在寅政権の慰安婦合意破棄や徴用工訴訟問題への対応を批判するなど、駐日大使退任後も日韓関係に対する意見を発信し続けました。

エピソード

柳興洙は、韓国シリーズの一番最初の始球式を担当した人物としても知られています。1982年の韓国シリーズ第1戦で、忠清南道知事としてボールを投げました。

栄典

2011年 旭日中綬章
2016年 旭日大綬章

柳興洙は、激動の時代を生き抜き、日韓関係の発展に貢献した人物として、その功績は長く記憶されることでしょう。

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