柴新流

柴新流（しばしんりゅう）

概要

柴新流は、遠州地方、具体的には浜松市にて藤田銀八郎によって創設された柔術の流派です。この流派は、実戦を重視し、その独自の技法と哲学が特徴となっています。

歴史的背景

柴新流の創始者である藤田銀八郎は、幼少期から武芸に親しみ、弓術、馬術、剣術、槍術、そして柔術まで多岐にわたる技術を習得してきました。彼は後に江戸へ進み、磯又右衛門柳関斎源正足から天神真楊流を学び、その後さらに楊心流や真之神道流を極めることになります。

藤田は、旅の途中で粟田口で遭遇した危機的な状況をきっかけに、柔術の真髄を悟ります。彼は33人を超える敵に対し、当身を用いて数人を打倒しましたが、その際に拳に痛みを感じることとなりました。そのため、地面に落ちていた瓦を使い、残りの敵を撃退しました。この出来事を通じて、藤田は実戦では武器や技よりも当身の重要性を認識しました。感動のあまり涙を流した彼は、再び瓦を手放し、それが同じ位置に落ちる様子に、不思議な感覚を覚えました。そこには生きている芝があり、これを通じて柔術の真髄を得たとされています。そして、流派名を「柴新流」と名付けました。

その後、藤田は遠州の秋葉山へと向かい、21日間の絶食修行を行いました。修行の最中、摩利支尊天が現れ、一巻の巻物を授け、その後立ち去ったと言われています。この巻物には千人遠当の術が含まれており、これは非常に危険な技で、敵の前で使うと、たちまち数人が仮死状態に陥ることもあったといいます。

技法の特徴

柴新流は、特に実戦において当身が効果的であるとする技法が特徴です。分派である柴真揚流によると、藤田は黒鍬との戦いを通じて、投げや絞め技よりも当身の方が有効であるとの結論に達し、修業内容を当身に特化させるように組み直しました。これにより、相手を直接的に攻撃する技術がこの流派の中心となりました。

系譜

柴新流は、藤田銀八郎を流祖とし、その後の二代目には矢田鉄之助が 継承しました。彼は一心斎平好男の流れを組み、柴真揚流としても知られるようになりました。こうして、柴新流は長い歴史を持ち、現在も多くの人々に受け継がれています。

まとめ

柔術の一流派である柴新流は、藤田銀八郎の歴史や個人的な体験を基にした哲学を体現し、実戦での有効性を追求した技術が魅力です。その教えを受け継ぐ流派として、現在も多くの道場で生き続けています。

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