柴田忠次郎

柴田忠次郎: 明治時代の貿易商と活動写真の先駆者

柴田忠次郎（しばた ちゅうじろう）は、1864年1月16日に愛知県豊田市で生まれ、1909年9月27日にアメリカ・シカゴで亡くなった重要な人物である。彼は、明治時代の商人であり、特に日本に活動写真（現在の映画）の導入に貢献したことから、歴史に名を刻む存在であった。

経歴と業績

柴田の父は挙母藩の郡奉行を務めた柴田順平で、彼には弟がいる。この背景を持つ彼は、東京・京橋にあった貿易商「新居商会」で勤めるようになる。ここで、彼は興行師の櫛引弓人や新居三郎といった人物と出会い、活動を広げていくことになる。

1893年、シカゴ万国博覧会への出品を目指し、柴田は渡米を決意し、日本庭園を出品した。この経験が彼の後の活動に多大な影響を及ぼすことになる。さらに、彼はアメリカの各地の催しに参加し、その後も貿易商としての経験を積んでいった。

活動写真との出会い

1896年、友人からの勧めで「ヴァイタスコープ」の上映を目にし、大きな感銘を受けた柴田は、日本でもこの活動写真を上映したいと考え、すぐに映写装置とフィルムを購入することにした。当時、3,500円という大金で16本のフィルムを手に入れるが、資金が不足していたため、残りの代金を日本で支払うことが必要になった。これにより、アメリカ人映写技師のダニエル・クロースが同行してくれることとなり、彼は同年末に日本へ帰国した。

日本での興行活動

彼が帰国した翌年の1897年、東京・神田の錦輝館で昼夜2回の活動写真興行を行い、その結果は驚異的な成功を収めた。この成功により、彼は活動写真事業を大阪の秋田柳吉に譲渡し、再びアメリカに渡ることとなる。

シカゴでの活動

1904年のセントルイス万国博覧会では、日本人村の入り口近くにて櫛引や新居と共にレストランを経営していた。その後、柴田は独立し、シカゴに拠点を移して、複数のレストランを開業し、多彩な事業を展開した。

最期と遺産

1909年、柴田はアメリカ・シカゴで死去し、享年46歳であった。彼の墓はシカゴのオーク・ウッズ墓地にあり、後に孫である歌手の渡辺はま子が墓の修復を行うためにシカゴを訪れている。その行動は、柴田の功績を後世に伝えるためにも重要な意味を持っている。

柴田忠次郎の人生は、貿易商としての成功とともに日本での映画文化の始まりに深く関わっており、彼の業績は現在の日本映画界に多大な影響を与えている。

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