挙母藩

挙母藩の歴史

挙母藩（ころもはん）は、江戸時代に愛知県豊田市周辺を治めていた小藩です。藩は2万石の譜代大名に属し、藩庁は挙母城（通称七州城）に設置されました。挙母藩の歴史は、主に4つの異なる時代に分けることができ、その各時代において異なる領主たちが存在しました。

三宅家時代（1604年 - 1619年、1636年 - 1664年）

挙母藩は、慶長9年（1604年）に武蔵国から三宅康貞が三河国加茂郡衣に入部して始まりました。彼の統治下で、藩の基盤となる陣屋が豊田市元城町付近に設置され、周囲の町も形成されました。この地域は、重要な交通網の要所となっていました。

元和5年（1619年）には、康信の代で2,000石の増封を受けますが、伊勢亀山[[藩]]に転封となります。その後、1640年代半ばに再び衣城主となった康盛の後、康勝による領地替えで再度三河田原藩に転封され、この地の統治はその後続きませんでした。

幕府領時代（1664年 - 1681年）

藩主の転封後、衣の地は幕府の直接支配下に入り、三河代官である鳥山家がその統治を行いました。彼らは先代の築いた陣屋を解体し、新たな郷倉や田地を整備しました。また、道路の拡張や養蚕の奨励、灌漑事業などを展開し、地域の発展を促進しました。

本多家時代（1681年 - 1749年）

天和元年（1681年）に、本多忠利が陸奥石川藩から挙母に入部し、藩主として立藩しました。忠利は徳川家康の家臣・本多忠勝の曾孫であり、幕府の寺社奉行も務めていました。本多家は「衣」を「挙母」と名付け、城下町の整備を進め、忠利から忠央にかけて3代にわたって統治が続きました。

内藤家時代（1749年 - 1871年）

寛延2年（1749年）、内藤政苗が上野安中[[藩]]から挙母に転封し、以降約120年間内藤家が支配を続けることとなります。政苗は本多家から受け継いだ1万石に加え、他に1万石を領地として持ち、全体で2万石の大名となりました。彼は新たに挙母城を整える計画を立てたものの、一揆や天災により進行は遅れました。

その後、第2代藩主の内藤学文は、1785年に樹木台に新城を築き、これが現代の七州城となるものです。また、彼は藩校「崇化館」を創設し、教育にも力を入れました。内藤家の時代には、藩主やその子孫が明治政府にも影響を与え、藩の政治的背景が社会全体に影響を及ぼしました。

幕末の挙母藩

幕末には第4代藩主の政成が主導した藩政は、非常に質素倹約に努めていましたが、自然災害や経済的困難に苦しむことになります。政成は文政13年（1830年）に弟の政優を養子として迎え、藩政を委ねました。その後、加茂一揆が発生し、農民たちが年貢の減免を求めて立ち上がった際、藩の権力が示される場面がありました。結果的には一揆が鎮圧されましたが、この騒動は後の大塩の乱にも影響を与えることとなりました。

その後も政優は藩主としての役割を果たしましたが、家族の相続問題や自然災害などの課題が継続しました。藩はやがて明治維新を迎え、1871年に挙母藩は廃藩され、挙母県へと変わっていきます。内藤文成はその後も存命であり、彼の家督は養子に引き継がれ、彼の子孫は華族に叙されました。

挙母藩はその短い歴史の中で、様々な変遷を経て地域の発展に寄与しました。

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