柿崎町

柿崎町（かきざきまち）は、かつて日本の新潟県中頸城郡に属していた自治体です。歴史的に北国街道の宿場町として発展し、日本海に面した豊かな自然を持つ地域でした。平成17年（2005年）に周辺市町村と共に上越市へ編入され、現在は同市の地域自治区「柿崎区」となっています。

地理：柿崎町は北側で日本海に接し、北東部には佐渡弥彦米山国定公園が広がります。特に霊峰として信仰を集める米山がそびえ、柿崎川が町内を流れています。かつての隣接自治体には、柏崎市のほか、当時中頸城郡に属していた大潟町や吉川町がありました。

歴史：江戸時代、柿崎は北国街道の主要な宿場町の一つとして繁栄を極めました。近代に入り、明治22年（1889年）の町村制施行に伴い、中頸城郡に柿崎村が誕生しました。その後、数度の合併を経て村域を拡大し、昭和9年（1934年）に町制が施行され柿崎町となりました。昭和30年（1955年）には大規模な合併で現在の町域がほぼ固まります。平成元年（1989年）には境界変更により一部地域が柏崎市へ編入されました。そして平成17年（2005年）1月1日、周辺13町村とともに上越市に編入され、自治体としての歴史に幕を閉じました。旧町域は現在、上越市の地域自治区である「柿崎区」として地域振興が進められています。

人口：柿崎町の人口は、昭和35年（1960年）の調査で1万6千人台を記録して以降、減少傾向が続き、平成12年（2000年）には約1万2千人となりました。上越市編入後もこの流れは変わらず、令和2年（2020年）の調査では9千人台となるなど、少子高齢化や都市部への人口流出といった地方の課題を抱えています。

交通：交通網としては、東日本旅客鉄道（JR東日本）の信越本線が町内を通過し、上下浜駅と柿崎駅が旅客輸送を担っていました。道路交通においては、北陸自動車道の柿崎インターチェンジが設けられ、また主要な一般道路として国道8号線が町内を横断していました。

産業・経済：主要な産業の一つは漁業でした。日本海に面した柿崎漁港は、新鮮な海の幸をもたらす地域の漁業基地として機能していました。また、地理的に近い上越市への通勤・通学者が多く見られ、地域の経済活動において重要な要素となっていました。

文化・観光：柿崎町には、歴史と自然に育まれた多くの魅力があります。夏には多くの人が訪れる柿崎中央海岸は海水浴やイベントの会場となります。心身のリフレッシュには、上下浜温泉のハマナスふれあいセンターや、静かな山間に佇む栃窪温泉の鷺乃湯といった温泉施設が利用されていました。信仰の地としては、霊峰米山に関連する米山薬師があります。また、親鸞聖人ゆかりの遺物を伝える浄福寺、壁面彫刻で知られる密蔵院の護摩堂、そして上杉謙信の重臣であった柿崎景家の菩提寺とされる楞厳寺など、歴史を感じさせる寺院が点在しています。かつては柿崎平和館という映画館もあり、地域住民の娯楽施設として親しまれていました。

教育：町内には、地域の子どもたちが学ぶ場として、柿崎町立柿崎小学校、上下浜小学校、下黒川小学校の3つの小学校と、柿崎町立柿崎中学校が設置されていました。また、地域の中心的な高等学校として、新潟県立久比岐高等学校がありました。

姉妹・提携都市：柿崎町は、他の自治体との交流も積極的に行っていました。国内では山梨県の旧須玉町（現在の北杜市）と、国外では大韓民国ソウル特別市冠岳区の新林第八洞と、友好関係や交流協定を結んでいました。

出身者：柿崎町は、様々な分野で活躍する人物を輩出しています。特に著名な人物としては、多くの読者に支持される漫画家の春田なな氏や、日本の教育行政において重要な役割を果たした官僚の柳孝氏（元文部科学事務次官）が挙げられます。

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