大潟町

大潟町（おおがたまち）

かつて新潟県の南西部に広がる中頸城郡に属していた自治体です。日本海に面し、その内陸部には複数の湖沼を擁するなど、豊かな自然景観が特徴でした。地域の中心部である旧町域からは上越市への通勤者も多く、平成12年の国勢調査では通勤率が30.7%に達していました。平成17年（2005年）1月1日、大潟町は周辺自治体とともに上越市へ編入されることとなり、その町域は上越市の地域自治区である「大潟区」として、現在に至るまでその名称が引き継がれています。

地理

大潟町が存在した区域は、日本海沿岸部に位置しています。特筆すべき自然地理としては、山や主要な河川の記載はありませんが、複数の湖沼が存在していました。具体的には、朝日池、鵜ノ池、天ヶ池といった湖沼が町の景観を形成していました。廃止される時点で隣接していた自治体は、上越市、そして同じ中頸城郡に属していた柿崎町、吉川町、頸城村でした。

歴史

大潟町の歴史は、明治時代にまで遡ります。近代的な自治体制度が導入された明治22年（1889年）4月1日、町村制の施行に伴い、中頸城郡内の潟町村、九戸浜村、雁子浜村、浜雁子新田、および九戸雁子上下浜立会の五つの村が合併し、新たに「潟町村」（かたまちむら）が発足しました。その後、明治34年（1901年）11月1日には、隣接していた犀潟村と合併し、改めて「潟町村」として再編成されました。昭和30年（1955年）3月31日には、中頸城郡の旭村の一部地域を編入し、町域を拡大しました。そして、昭和32年（1957年）8月1日には、町制を施行する運びとなり、名称も「大潟町」へと改められました。この名称で約48年間続いた後、平成17年（2005年）1月1日、新潟県内で進められていた市町村合併の一環として、上越市に編入され、その自治体としての歴史に幕を閉じました。編入後は、旧大潟町の区域をもって上越市の地域自治区「大潟区」が設置され、地域の名称として存続しています。

交通

町域には、地域住民や観光客にとって重要な交通網が整備されていました。鉄道に関しては、東日本旅客鉄道（JR東日本）の信越本線が縦断しており、町内には犀潟駅、土底浜駅、潟町駅の三つの駅が設置されていました。また、北越急行ほくほく線の犀潟駅も利用可能であり、両線の接続駅として機能していました。道路交通については、主要な幹線道路として国道8号が町内を通過していました。高速道路としては、北陸自動車道が近接しており、町内には大潟パーキングエリア（P.A.）と、ETC専用の大潟P.A.スマートインターチェンジが設置されており、利便性の向上に寄与していました。

観光・名所

大潟町は、豊かな自然と温泉資源に恵まれ、多くの観光スポットを有していました。特に知られているのは、日本海に面した鵜の浜海水浴場と、その近くに湧出する鵜の浜温泉です。夏には多くの海水浴客で賑わい、温泉は日頃の疲れを癒す場として親しまれていました。その他にも、アウトドアレジャーに適した大潟キャンプ場や、海の生き物や伝説に関連する展示を行う鵜の浜人魚館、広大な敷地を持つ大潟水と森公園などがあり、町内外からの訪問者を楽しませていました。

その他

教育施設としては、大潟町小学校と大潟町中学校がありました。また、大潟町からは、日本の近代音楽教育に貢献した作曲家の小山作之助や、新潟県議会議長を務めた藤縄清治氏といった人物を輩出しています。

もう一度検索