栃木会館

栃木会館：栃木県民の記憶に残る複合施設

栃木会館は、かつて栃木県宇都宮市本町に位置した、コンサートホールとオフィスビルが一体となった複合施設でした。栃木県が所有する旧館と、栃木県とJAグループ栃木が共同で所有する新館から構成されていました。

施設概要

旧館には大ホールが、新館にはオフィスが入居していました。しかし、向かいに栃木県総合文化センターが開館したことで、旧館は解体され、跡地は芝生広場となりました。その後、新館も解体され、2024年現在は栃木県庁前芝生広場となっています。

旧館

旧館は1955年（昭和30年）に完成しました。設計は柴岡亥佐雄氏が担当し、ホール入口のピロティには、岡本太郎氏が提案し、山内壮夫氏が制作した大谷石の彫刻「意志と思索」で包まれた柱が2本、そして打ちっぱなしの円柱が2本配置されていました。建物は、鉄筋コンクリート造で、地下1階、地上2階建てのホール・ギャラリー棟と、地下1階、地上4階建ての別館（県立図書館）で構成されていました。施設内には、栃木会館大ホール、ギャラリー、県立図書館（1971年の図書館移転後は大ホールの楽屋・控室に改修）がありました。旧館は1991年（平成3年）に閉館しました。

新館

新館は1963年（昭和38年）に完成しました。地上8階、塔屋3階、地下3階建てで、延床面積は約1万5千平方メートルでした。2004年（平成16年）3月に小ホールが閉鎖され、2016年（平成28年）に全館が閉館しました。

新館には様々な施設が入居していました。8階には栃木放送（県域中波放送局）、7階には一般社団法人栃木県経営者協会や交通安全協会、栃木放送がありました。6階には栃木県企業局、5階には栃木県市町村職員共済組合、4階には国保連や公益社団法人とちぎ環境・みどり推進機構、3階にはかつて結婚式場（1977年閉鎖後は会議室に改装）、(一財)栃木県交通安全協会、2階には栃木県医薬品卸協会や社団法人栃木県幼稚園連合会、中2階には県民ホール、栃木放送会議室、大ホール連絡通路、1階には正面入口と農協観光、地下1階には小ホール（約400席）と地下商店街がありました。

結婚式場

3階には神前式の結婚式場があり、隣接してスタジオ、新郎新婦の着付け室、親族や神官の控室、そして会議室としても利用可能な披露宴会場がありました。2階にはレストラン、地下商店街には理美容室があり、結婚式に必要なすべてのサービスが提供できる体制が整っていました。ただし、招待客用の控室がなかったため、中2階の県民ホールや各階の廊下が代わりに使われていました。また、3階の披露宴会場と2階のレストラン厨房の間には、当時としては珍しい調理用ダムウェーターが2基設置されていました。

結婚式場の運営は、会館総務課と出入り業者で組織された「高砂会」が担当し、繁忙期にはアルバイトも動員されました。開館した昭和38年度には133組、昭和41年度には239組と、多くのカップルがここで結婚式を挙げました。しかし、昭和40年代末から50年代前半にかけて、宇都宮市内に民間の結婚式場が次々と建設されるようになると、栃木会館での挙式数は減少していきました。豪華な結婚式を求める風潮も手伝い、昭和51年度には19組にまで落ち込みました。近くに結婚式場を持つ施設もできたことから、県は栃木会館の結婚式業務は当初の目的を達成したとして、1977年（昭和52年）3月末をもって廃止しました。

沿革

栃木会館は、栃木県の文化活動の拠点として、様々な歴史を刻んできました。

1952年（昭和27年）：小平重吉知事が「栃木会館」の構想を表明
1954年（昭和29年）：名称が「栃木会館」に決定、建設起工式挙行
1955年（昭和30年）：落成式、こけら落とし公演
1956年（昭和31年）：ウィーン少年合唱団公演、橘秋子バレエ団特別公演
1963年（昭和38年）：新館（県総合会館）落成、栃木放送が入居、結婚式業務開始
1964年（昭和39年）：東京オリンピック聖火リレー、東北本線複線開通、ニチボー貝塚歓迎会
1965年（昭和40年）：栃木会館10周年フェスティバル開催
1969年（昭和44年）：運営が「社団法人栃木会館」へ委託
1970年（昭和45年）：大ホール客席椅子更新、舞台照明改修
1971年（昭和46年）：県立図書館が移転
1972年（昭和47年）：高松宮夫妻が来館
1977年（昭和52年）：新館3階の結婚式場を閉鎖
1980年（昭和55年）：宇都宮市文化会館落成
1991年：栃木県総合文化センター完成により大ホール閉館
2004年（平成16年）：小ホール閉鎖
2016年（平成28年）：栃木会館解体工事開始

栃木会館は、その長い歴史の中で、県民の文化活動や県内企業の活動を支える重要な役割を果たしてきました。現在ではその姿を見ることはできませんが、多くの人々の記憶の中に生き続けています。

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