栄光の旅立ち

アメリカ合衆国のロック・グループ、フォリナーが世に送り出したデビュー作『栄光の旅立ち』は、1977年3月8日に発表されました。このアルバムは、彼らが音楽シーンでの地位を確立する上で極めて重要な役割を果たしました。共同創設者であり主要なソングライターでもあるギタリストのミック・ジョーンズを中心に結成されたフォリナーは、本作によってその存在を強く印象付けたのです。

本アルバムには、今日に至るまで多くのファンに愛されるフォリナーの初期を代表する楽曲が収められています。特に、パワフルなロックアンセムとして知られる「衝撃のファースト・タイム（Feels Like the First Time）」、叙情的なメロディが耳に残るバラード「つめたいお前（Cold as Ice）」、そして躍動感溢れるリズムが特徴の「ロング、ロング・ウェイ・フロム・ホーム（Long, Long Way from Home）」は、いずれもシングルとして成功を収め、このデビュー・アルバムをヒットへと導く原動力となりました。これらの楽曲の成功は、フォリナーが持つハードロックの骨太さと、幅広い層にアピールするポップなメロディセンスが見事に融合していたことを証明しています。

アルバムの収録曲の中には、リード・ギタリストであるミック・ジョーンズがリード・ボーカルを担当しているものがある点も注目すべき特徴です。具体的には、「スターライダー（Starrider）」や「ウーマン・オー・ウーマン（Woman Oh Woman）」で、メイン・ボーカルのルー・グラムとは異なるジョーンズの歌声を聴くことができます。これは、フォリナーの長い活動期間を通じてもあまり多くない例とされています。

アルバム『栄光の旅立ち』の全収録曲は以下の通りです。

衝撃のファースト・タイム - "Feels Like the First Time" – 3:49
作詞・作曲: ミック・ジョーンズ
つめたいお前 - "Cold as Ice" – 3:19
作詞・作曲: ジョーンズ、ルー・グラム
スターライダー - "Starrider" – 4:01
作詞・作曲: アル・グリーンウッド、ジョーンズ
ヘッド・ノッカー - "Headknocker" – 2:58
作詞・作曲: グラム、ジョーンズ
ダメージ・イズ・ダン - "The Damage Is Done" – 4:15
作詞・作曲: ジョーンズ、グラム
ロング、ロング・ウェイ・フロム・ホーム - "Long, Long Way from Home" – 2:53
作詞・作曲: ジョーンズ、グラム、イアン・マクドナルド
ウーマン・オー・ウーマン - "Woman Oh Woman" – 3:49
作詞・作曲: ジョーンズ
人生は闘い - "At War with the World" – 4:18
作詞・作曲: ジョーンズ
お前に夢中 - "Fool for You Anyway" – 4:15
作詞・作曲: ジョーンズ
アイ・ニード・ユー - "I Need You" – 5:09
作詞・作曲: グラム、ジョーンズ

このデビュー作の制作に携わった主要メンバー（パーソネル）は以下の通りです。

フォリナー:

ルー・グラム: 力強いリード・ボーカルを担当し、一部楽曲ではパーカッションも演奏しています。
ミック・ジョーンズ: バンドの中心人物であり、ギター、キーボード、バック・ボーカルを務め、特定の楽曲ではリード・ボーカルも担当しました。
イアン・マクドナルド: キーボード、ギター、サクソフォーン、フルートと多様な楽器を操り、バック・ボーカルでも貢献しています。
アル・グリーンウッド: キーボードおよびシンセサイザーを担当し、サウンドに厚みを与えています。
エド・ガリアルディ: ベースを担当し、リズム隊としてバンドを支え、バック・ボーカルでも参加しました。
デニス・エリオット: ドラムを担当し、強固なリズム基盤を築き、バック・ボーカルも兼任しました。

アディショナル・ミュージシャンとして、イアン・ロイドがバック・ボーカルで参加しています。

本アルバムのプロダクションは、ゲイリー・ライオンズとジョン・シンクレアがプロデューサーを務め、エンジニアリングはゲイリー・ライオンズが担当しました。

『栄光の旅立ち』は、フォリナーが1970年代後半のロックシーンに登場し、瞬く間に成功を収める契機となった記念碑的アルバムです。その後の彼らの輝かしいキャリアの基礎を築いた作品として、今日でも多くのロックファンに聴き継がれています。後年の再リリース盤では、デモ音源などがボーナストラックとして追加され、本作の魅力が再発見されています。

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