衝撃のファースト・タイム

衝撃のファースト・タイム (Feels Like the First Time)

イギリスとアメリカの才能が集結して結成されたロックバンド、フォリナーの記念すべきデビューシングルが「衝撃のファースト・タイム」（原題："Feels Like the First Time"）です。この楽曲はバンドの創設メンバーであるミック・ジョーンズによってペンが執られ、1977年にリリースされたデビューアルバム『栄光の旅立ち』に収録されました。発表されるや否や大きな反響を呼び、特にアメリカの主要音楽チャートであるBillboard Hot 100では最高位4位を記録するなど、フォリナーの華々しいキャリアの第一歩を飾る楽曲となりました。

楽曲誕生の背景

「衝撃のファースト・タイム」は、ミック・ジョーンズが後にフォリナーとして活動するバンドを結成する構想を練っていた時期に生まれました。ジョーンズ自身は、曲作りを一人で進める中で自然といくつか楽曲が形になり、そのうちの一つがこの曲だったと振り返っています。彼はこの曲に自身の個人的な大きな変化が反映されていることを明かしており、フランスでの結婚生活を終え、故郷であるイギリスに戻り、その後スプーキー・トゥースでの活動を経てアメリカへと渡った一連の出来事が創作の源泉となったと語っています。ジョーンズにとって、それはまさに人生の新たな章を開くための挑戦であり、その過程で新たなパートナーと出会い、再婚して共にアメリカへ移住した経験が、この「新たな始まり」というテーマを込めた楽曲として結実したのです。

評論家たちの評価

「衝撃のファースト・タイム」は、リリース当時から様々な評価が寄せられました。『オールミュージック』の評論家、デニス・サリヴァンはこの曲について、1970年代の企業的ロックのヒット曲としては典型的で時に評論家から批判されがちな要素を持ち合わせていながらも、「爆発的な人気」を獲得した点を指摘しています。その人気の要因の一つとして、ヘヴィメタルとMOR（ミドル・オブ・ザ・ロード）ロックという異なるジャンルの要素を巧みに融合させている点を挙げ、具体的には、力強いスネアドラムの響き、幾層にも重ねられた楽器の音色、そして思わず拳を突き上げたくなるようなギターリフといったハードな要素と、親しみやすいメロディが共存していることを挙げています。また、リードシンガーのルー・グラムによるヴォーカルパフォーマンスは、「典型的なメタル・スクリーマー」とも形容されるほど力強く印象的だったと評しています。

一方、『ビルボード』誌は、この曲を「率直で幸福感に満ちた愛の歌詞」を持つ「洗練されたハイエナジーロック」と高く評価しました。特にギターサウンドの力強さ（「ブーミング」と表現）と、グラムのリードヴォーカルが持つ「激しさの中にコントロールされた表現力」を称賛しています。『アルティメット・クラシック・ロック』のマット・ワードロウは、フォリナーの楽曲の中で7番目に優れた曲として位置づけ、この曲がジョーンズの新たな人生、すなわち結婚、アメリカへの移住、そして大成功を収めるロックバンドの始動という、まさに彼の「新たな始まり」を象徴していると述べています。『クラシック・ロック・ヒストリー』のジャニー・ロバーツに至っては、「衝撃のファースト・タイム」をフォリナー史上最高の楽曲であると断言するなど、その評価は多岐にわたります。

ポップカルチャーでの使用

「衝撃のファースト・タイム」は、そのキャッチーさと力強いサウンドから、リリースから数十年を経た現在も様々なメディアで使用され続けています。2010年には、人気リズムゲーム『Guitar Hero: Warriors of Rock』に収録されるにあたり、新たなレコーディングが行われました。また、映画の世界でも頻繁に起用されており、2012年のヒット映画『マジック・マイク』のエンディングを飾ったほか、ミュージカルコメディ映画『ピッチ・パーフェクト』ではアカペラグループ、トレブルメーカーズによるリフ・メドレーの一部として使用されました。さらに、2013年のコメディ映画『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』、2017年の伝記映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』、そして2021年のマーベル・シネマティック・ユニバース作品『エターナルズ』のエンドクレジットなど、多様なジャンルの作品で印象的に使用されています。2020年のNetflix映画『スペンサー・コンフィデンシャル』でもこの曲がフィーチャーされましたが、そのバージョンは大幅に編集されたものでした。

参加ミュージシャン

「衝撃のファースト・タイム」のレコーディングに参加したメンバーは以下の通りです。

ルー・グラム – リードヴォーカル
ミック・ジョーンズ – リードギター、バッキングヴォーカル
イアン・マクドナルド – リズムギター、バッキングヴォーカル
アル・グリーンウッド – キーボード、ハモンドオルガン、シンセサイザー
エド・ガグリアルディ – ベースギター、バッキングヴォーカル
デニス・エリオット – ドラム

この曲は、フォリナーというバンドが世界にその名を轟かせるきっかけとなっただけでなく、ミック・ジョーンズ自身の人生の節目と新たな出発を刻んだ、バンドにとっても極めて重要な意味を持つ楽曲と言えるでしょう。時代を超えて愛されるそのサウンドは、今なお多くの人々に「初めて」のような新鮮な感動を与え続けています。

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