栄村忠広

概要

栄村忠広（さかえむら ただひろ）は、1961年に鹿児島県枕崎市で生まれた元プロ野球選手で、そのポジションは外野手であった。彼の野球キャリアは、鹿児島実業高等学校での輝かしい時代を経て、プロとしての道へと進むものとなった。

高校時代

鹿児島実業高では、1978年の夏に甲子園に出場し、準々決勝では静岡高に惜しくも敗れた。彼は2年生の時に二塁手としてプレーし、3番打者として活躍するも、試合終盤には最後の打者となり4番の定岡徹久に打席を回せなかった。この経験は、以降の彼にとって大きな教訓となった。今年1979年の夏の甲子園にも連続出場するが、初戦で相可高に敗れ、ついに夏の甲子園での勝利を手にすることは叶わなかった。

プロ入り

高校卒業後は、軟式野球の日本専売公社鹿児島でプレーし、その後1982年オフにドラフト外で読売ジャイアンツに入団する。初めは内野手としてチームに加わったが、彼の俊足を生かすためにスイッチヒッターへと移行し、左打者として活躍することとなった。

プロ選手としてのキャリア

1987年、日本のイースタン・リーグで27盗塁を達成し、盗塁王のタイトルを獲得。この成功は、1988年に一軍登録される初めての弾みとなった。プロ初出場は4月9日の対ヤクルトスワローズ戦で、8回裏に吉村禎章の代走として登場した際に、プロ初盗塁も記録した。この偉業は、東京ドームにおけるプロ野球史上初の盗塁でもあった。この年、栄村は中堅手として11試合に先発出場し、特に4試合では一番打者を務め、それに伴い11盗塁を記録した。

同年は特に賑やかで、6月14日の対ヤクルト戦では、代走としての登場中に投手の送球が自らの頭部に当たり、その影響で負傷し退場。この出来事を契機に、セ・リーグ会長は走者にヘルメットの装着を義務化することとなった。

また、7月6日には対中日ドラゴンズ戦に出場し、守備に入った際に吉村豊と衝突。吉村は重傷を負い、栄村は無傷でそのまま試合に出続けたものの、球場やファンには彼の心情的な不安感を与えた。

引退とその後

1990年のオフにはオリックス・ブルーウェーブに無償トレードされるが、1年後には自由契約となり、選手としてのキャリアを終えることとなった。引退後は、メディアとの接触を避けるなど比較的静かな生活を送っていたが、その後テレビ番組やライターに対し取材を受け、草野球を楽しむ姿が紹介されるようになった。更には、吉村からのサポートを受けて自らの苦悩が和らいだことを語った。

現在は、日本プロ野球OBクラブの講師として野球教室を運営するなど、ゆっくりと球界に戻りつつある。これまでのプロ生活の経験をもとに、若手選手たちに野球の魅力や技術を伝える役割を果たしている。栄村の人生は、成功と苦悩、再出発の物語であり、多くの人々にとって貴重な教訓と希望を与えている。

もう一度検索