栄福寺 (今治市)

栄福寺（えいふくじ）

栄福寺は、愛媛県今治市玉川町に位置する高野山真言宗の寺院であり、四国八十八箇所の第五十七番札所です。寺は府頭山（ふとうざん）を背にし、無量寿院（むりょうじゅいん）の名も持つこの場所に、阿弥陀如来を本尊として祀っています。本尊の真言は「おん あみりた ていせい からうん」であり、訪れる人々には深い信仰の対象となっています。また、寺に伝わるご詠歌には「この世には弓矢を守る八幡なり　来世は人を救う弥陀仏」とあり、信者に大切に歌い継がれています。

沿革

栄福寺の創立は、弘仁年間（810年 – 824年）にまで遡ります。伝説によれば、弘法大師空海が嵯峨天皇の勅願を受けて巡錫の際に、府頭山の山頂で護摩供を行い、海上に現れた阿弥陀如来の姿に感銘を受けて堂宇を建立したとのことです。その後、859年に大和の行教上人がこの地に漂着し、八幡明神を勧請して神仏習合の「勝岡八幡宮」を創建しました。

時が経つにつれて、栄福寺は一時荒廃しましたが、源頼義がこの地の刺史として赴任した際に多くの仏堂や神社を再建し、特に勝岡から移された八幡宮が重要視されました。中世の戦乱で一時期消失しましたが、遍路人にとって再び重要な地点として復興しました。江戸時代後期には「伊豫一國石清水八幡宮　別當栄福寺」として名が知られるようになり、さらに明治初年には神仏分離令の影響を受けて独立した寺院となりました。現在も多くの信仰を集めており、昭和8年には特に足腰を守る寺として知られるようになりました。

境内と施設

栄福寺の境内にはいくつかの重要な施設があります。まず、本堂には阿弥陀如来の坐像が秘仏として祀られています。毎年一定の機会に開帳されるため、信者たちはこれを心待ちにしています。他にも、大師堂や薬師堂、金毘羅堂などがあり、それぞれの神仏を拝顔することができます。また、鐘楼や句碑も設置され、訪れる人々に静かな雰囲気を提供しています。

参道を進むと本堂の右手に大師堂、さらに右に薬師堂、金毘羅堂、そして庫裏や納経所が並んでいます。この配置は信者や遍路人にとって非常に利用しやすく設計されています。

特筆すべきは、2011年に設置されたトイレが「グッドデザイン賞」を受賞したことです。現住職の兄が設計したこのトイレは、国産材を用いた独自の工法で美しさと実用性を兼ね備えています。

交通案内

栄福寺へのアクセスは非常に便利で、最寄りの鉄道はJR予讃線の今治駅があり、駅からはバスが利用できます。また、一般道を使えば愛媛県道155号を通ることができ、自動車道では西瀬戸自動車道の今治ICからもアクセスが良好です。

奥の院

栄福寺の奥の院には、伊予の石清水八幡宮があります。石段を約150メートル登ると山頂に鎮座するこの神社は、古くから地域の信仰を支えています。社伝によると、源頼義が建立したとされ、現在でも多くの参拝者が訪れています。

栄福寺とその周辺地域は、伝統ある信仰の場であり、四国八十八箇所巡礼の重要なポイントでもあります。訪れることで、深い歴史と信仰の一端を感じ取ることができるでしょう。

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