栓状耳飾り

栓状耳飾り：縄文時代のピアス式耳飾り

栓状耳飾りは、日本の縄文時代中期（約5000年前）に盛んに用いられたピアス式の耳飾りです。考古学の世界では「耳栓」と呼ばれることが一般的ですが、現代で使われる耳栓と混同しないように、ここでは「栓状耳飾り」と呼びます。これは、縄文時代前期の「玦状耳飾り」と対になる分類名でもあります。小型のものを「耳栓」、大型のものを「滑車形耳飾り」と区別することもあります。

概要

栓状耳飾りは、平たい円柱形で、側面がやや窪んでいるのが特徴です。主な材料は土で、他に木、石、骨角なども使われました。特に土製の耳飾りには、円柱の内側に曲線的で立体的な装飾が施されたものが多く見られます。この耳飾りは、主に東日本で発見されています。

栓状耳飾りが耳飾りとして使われていたことが明らかになったのは、1918年（大正7年）8月の大阪府藤井寺市国府遺跡の発掘調査です。この時、人骨とともに栓状耳飾りに分類される資料が出土しました。

装着方法としては、耳たぶに開けた孔（ピアスホール）を広げ、円柱をはめ込むようにして使われたと考えられています。栓状耳飾りの大きさは、直径1センチメートルから最大10センチメートル程まで様々です。そのため、幼い頃に小さな耳飾りを付け始め、徐々に大きなものに付け替えることで、耳たぶを大きくしていったと考えられています。

奈良県立橿原考古学研究所は、栓状耳飾りが装着者の年齢や社会的地位を示すステータスシンボルや、魔除けとして使われたのではないかと推測しています。

茅野遺跡の出土例

群馬県北群馬郡榛東村の茅野遺跡（国の史跡）からは、装飾性に富んだ577個もの土製栓状耳飾りが出土しています。これらは重要文化財に指定されており、榛東村立耳飾り館で展示されています。

ギャラリー

[栓状耳飾りの写真1]
[栓状耳飾りの写真2]
[栓状耳飾りの写真3]
[栓状耳飾りの写真4]
[栓状耳飾りの写真5]
[栓状耳飾りの写真6]

参考文献

吉田泰幸「縄文時代における土製栓状耳飾の研究」『名古屋大学博物館報告』第19号、名古屋大学博物館、2003年、29-54頁、doi:10.18999/bulnum.019.04
上田薫「古墳時代の耳飾り」『杉野服飾大学・杉野服飾大学短期大学部紀要』第5巻、杉野服飾大学、2006年、105-110頁

関連項目

イヤリング
ピアス
耳環

外部リンク

榛東村耳飾り館

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