栗原安秀

栗原安秀（くりはらやすひで）の生涯

栗原安秀は1908年11月17日に島根県松江市で生を受けました。彼の父は佐賀県出身の歩兵大佐で、栗原は幼少期を北海道旭川で過ごしました。そこでは、陸軍関係者や彼の父と交流のある家族と親密に関わっていました。特に、斎藤瀏という予備役少将の娘である歌人の斎藤史との家族ぐるみの付き合いが知られています。

栗原は教育を名教中学校で受けた後、1925年に陸軍士官学校予科に入校しました。ここで彼は将来の軍人としての道を歩み始め、同期には将来の二・二六事件に参加した同士たちが多く名を連ねていました。当時から「国家改造」についての議論を行い、歴史研究に取り組んでいましたが、具体的な行動にはまだ移していなかったようです。

1929年に陸軍士官学校本科を卒業し、少尉に任官された栗原は、その後も順調に進級を重ねました。1933年には救国埼玉青年挺身隊事件に関連する活動があり、その行動には緊迫感が漂っていました。友人の中橋基明が厳格な近衛師団に属していたため、栗原は自身に対する処分が予想される中、彼の行動に拍車がかかります。

二・二六事件への関与

栗原は1936年2月26日に発生した二・二六事件に参加しました。この事件は、陸軍の急進派による政治暗殺未遂事件であり、栗原は岡田啓介首相の官邸を襲撃する指揮をとりました。しかし、総理の義弟を誤認し、暗殺には失敗。続いて、朝日新聞社や他のメディアに対して決起趣意書の掲載を要求するなど、活動をエスカレートさせました。

事件の最中、栗原は仲間とともに宿営する一方、戒厳司令部による監視を受けていました。そして、陸軍内での将軍たちの動向に懸念を抱きを抱くと、自己の行動の必要性を感じ、仲間とともに反乱を決意しました。

結末とその後

二・二六事件後、栗原は特設軍法会議にかけられ、判決では死刑が言い渡されました。彼は仲間たちと最後まで昭和維新の意義を語り合い、処刑の直前には遺書を残します。その中では、裁判の不当さや、幕僚に対する恨みが表現されていました。栗原は仲間と共に死を迎える直前まで、その信念を曲げることはありませんでした。

栗原安秀の運命は、日本の歴史における重要な一幕として記憶され続けています。彼の生涯は、国家への忠誠、仲間との絆、そして抗う姿勢を象徴したものとなっています。その影響は、後の世代にも受け継がれているといえるでしょう。

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