栗山利安

栗山利安：黒田家の忠臣、その生涯と信念

栗山利安は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。黒田家臣団の中でも屈指の実力者として知られ、黒田二十四騎、黒田八虎の一人にも数えられています。主君である黒田孝高（如水）からの厚い信頼を得て、家臣団における序列はトップに位置し、「一老」と呼ばれていました。有名な黒田騒動を引き起こした栗山利章を子に持ちます。通称は善助です。

生涯

天文19年（1550年）、播磨国姫路栗山（現在の姫路市栗山町付近）で誕生しました。永禄8年（1565年）、黒田孝高に仕え始め、側近としてその生涯を共にします。永禄9年（1566年）に初陣を飾り、永禄12年（1569年）の青山・土器山の戦いでは、敵将の首を2つ挙げる武功を挙げ、83石の家禄を賜りました。天正6年（1578年）、孝高が荒木村重の説得に向かった有岡城で捕らえられた際には、翌天正7年（1579年）に孝高を救出する活躍を見せました。

天正8年（1580年）、孝高が播磨国で1万石を与えられると、利安も200石を加増されました。天正16年（1588年）、孝高が豊前馬ヶ岳城の領主となると、利安は一気に5800石を加増され、6000石を領する平田城代に任じられました。文禄2年（1593年）、孝高が隠居すると、その子である黒田長政に仕え、朝鮮出兵にも従軍。晋州城の戦いで武功を挙げました。帰国後は、井上之房と共に宇佐神宮の造営に携わりました。慶長5年（1600年）の会津征伐、関ヶ原の戦いにも参加し、関ヶ原では黒田如水と共に豊後国で西軍の大友義統と戦い（石垣原の戦い）、勝利に貢献しました。

戦後、長政が筑前国に移封されると、利安は朝倉郡に1万5000石の所領を与えられ、筑前六端城の一つである麻底良城の城主となりました。息子の利章にも3300石が与えられ、利安自身は2万石弱の大名となりました。元和3年（1617年）、家督を利章に譲り、元和9年（1623年）、長政の死を機に隠居し、「一葉斎卜庵」と号しました。

寛永8年（1631年）8月14日、82歳で生涯を閉じました。死の直前まで、まるで戦場にいるかのような譫言を繰り返し、周囲を驚かせました。その最期の言葉は、生涯を軍事に捧げた武将としての生き様を象徴するものでした。

人物像

栗山利安は、黒田孝高への忠誠心と武勇に優れた武将でした。孝高に仕えた間には、戦場で11度の功績を挙げ、その中には単独での武勇によるものと、指揮官として采配を振るったものとが含まれています。

2万石の大名となりましたが、その生活は質素で、誰に対しても謙虚な態度を崩しませんでした。困窮する者には金銀を無利子で貸し付けるなど、人情味あふれる一面も持ち合わせていました。黒田孝高からの恩恵について語る際には、最初の足軽への任命を生涯最大の喜びとして語っており、その謙虚な姿勢がうかがえます。

また、黒田家臣団内での紛争の調停や、猪突猛進な性格の長政への忠告など、家臣団の円滑な運営にも貢献しました。孝高の死後には、菩提を弔うため円清寺を建立するなど、深い信仰心も持ち合わせていました。黒田長政の息子である黒田忠之は、福岡城築城中の利安の屋敷で誕生しています。

利安は、忠義と武勇、そして深い慈悲の心を持った稀代の武将であったと言えるでしょう。その生涯は、後世に語り継がれるべき、多くの教訓を与えてくれます。

もう一度検索