馬ヶ岳城

馬ヶ岳城

馬ヶ岳城は、福岡県行橋市津積の馬ヶ岳山頂、標高216mに位置する山城で、その歴史は豊前国京都郡に遡ります。現在は行橋市の指定史跡となっています。

概要

京都平野を見渡せる馬ヶ岳は、東西に二つの頂を持つ独特の形状をしています。この二つの峰を中心に城の遺構が形成され、東西に長い構造が特徴です。西側の峰が本丸、東側の峰が二の丸と考えられており、二の丸から峰を下る尾根には、約500mにわたる土塁が今も残っています。現在、本丸跡には新田氏表忠碑が建立されています。近隣には御所ヶ谷神籠石（国の史跡）があり、山麓には安産祈願の神社である二兒神社が鎮座しています。

沿革

馬ヶ岳城の起源は、天慶5年（942年）に源経基によって築かれたとされています。その後、橘公頼の一族が城主となり、橘氏が代々城を治めました。しかし、仁平元年（1151年）には源為朝の攻撃を受け、橘頼行は自害。その後は草野氏が城主となりました。文治元年（1185年）には、緒方惟義の一族である緒方九郎が平家に対して反旗を翻し、この城に籠城しました。その後、少弐氏の支配下に入ります。

南北朝時代には、南朝方の菊池武重による攻撃を受け、再び落城。延元5年・興国元年/暦応3年（1340年）には新田義基が入城し、新田義氏、新田義高と三代にわたり城を支配しました。しかし、新田義高の代には、菊池氏の攻撃により再び落城しています。

戦国時代に入ると、豊後国の大内盛見の攻撃を受けて落城し、盛見の子である大内教幸が城主となりました。文明元年（1469年）、大内教幸は応仁の乱に乗じて大内氏惣領である大内政弘の留守中に周防国で謀反を起こしましたが、陶弘護との戦いに敗れ、馬ヶ岳城に逃亡。文明3年12月26日（1472年2月5日）に自害し、陶氏が城主となりました。文亀元年（1501年）には、足利義澄の命を受けた大友親治の攻撃を受け、永正元年（1504年）には鷲頭氏が城主となっています。弘治2年（1556年）には神代武総が入城しましたが、翌年7月には大友義鎮の攻撃を受けて落城するなど、大友氏、大内氏、毛利氏による争奪の舞台となり、近隣の香春岳城、松山城、岩石城とともに数多くの攻防戦が繰り広げられました。

天正6年（1578年）には長野氏が馬ヶ岳城に入り、居城としました。長野氏は、天正14年（1586年）からの豊臣秀吉による九州征伐の際に豊臣軍に降伏。その後、長野氏は家臣となり、大坂の陣で滅亡しました。秀吉が九州に下向し、豊前国小倉城に入った際には、馬ヶ岳城に立ち寄り宿泊したと伝えられています。九州征伐後、豊前国に所領を得た黒田孝高が居城としましたが、同年に中津城を築いて居城を移し、馬ヶ岳城は中津城の支城となりました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、小笠原氏が新たな豊前国領主となると、その属城となりました。

慶長20年（1615年）6月の一国一城令により、馬ヶ岳城は廃城となりました。

参考資料

行橋市史

関連項目

畝状竪堀

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