栗戦書

栗戦書（リー・チャンシュー）

栗戦書（りつ せんしょ、英語: Li Zhanshu）は、1950年8月30日生まれの中華人民共和国の政治家です。習近平政権において、第10代全国人民代表大会常務委員長を務めました。党内序列は最高で第3位であり、習近平党総書記、李克強国務院総理に次ぐ地位にありました。

経歴

河北省平山県で生まれた栗戦書は、河北師範大学夜間大学政教系を卒業後、中国共産党中央党校などで学びました。高級工商管理修士の学位も取得しています。

1972年に河北省石家荘地区商業局弁公室に勤務し、1975年に中国共産党に入党しました。その後、同地区党委員会弁公室資料科で幹事や科長を歴任し、1983年から1985年にかけて河北省無極県党委書記代理、書記を務めました。

この時期に、隣接する正定県の書記を務めていた習近平と親交を深めます。栗は、当時上司との関係がうまくいっていなかった習近平の相談に乗ることもあったと言われています。

1985年、石家荘地区に戻り、党委副書記・行政公署専員を務めます。1986年には中国共産主義青年団河北省委員会書記に就任しました。その後も、河北省承徳地区党委副書記・行政公署専員、河北省党委常務委員・秘書長などを歴任しました。

1998年に陝西省党委員会に移り、常務委員・農村工作領導小組副組長・弁公室主任を務めます。2000年には陝西省党委常務委員・組織部長に就任し、2002年1月には陝西省党委常務委員兼西安市党委書記、4月には西安市人民代表大会常務委員会主任も兼務しました。同年5月には陝西省党委副書記に昇格しています。

2003年12月、黒竜江省党委副書記に転出。翌年9月には黒竜江省政府党組副書記を兼務し、さらに10月には黒竜江省副省長を兼任します。2007年12月25日には黒竜江省省長代理となり、翌年1月27日に正式に省長に選出されました。

2010年8月、貴州省党委書記に転出。9月には同省人代常務委員会主任を兼務します。2012年7月18日、党中央の決定により貴州省党委書記を解任され、党中央弁公庁に移りました。同年9月1日には同庁主任に昇格し、翌月23日には中央直属機関工作委員会書記を兼任しました。

2012年11月には中央政治局委員、中央書記処書記に選出され、2014年3月には党国家安全委員会弁公室主任を兼任しました。2017年10月25日には政治局常務委員に選出され、2018年3月には全国人民代表大会で第10代全人代常務委員長に選ばれました。

2018年9月には北朝鮮の建国70周年記念行事に出席し、金正恩委員長と会談しました。2020年8月には、ニューヨーク・タイムズが栗戦書の娘が巨額の富を香港に築いていることを報じました。

2022年10月23日の第二十次中央委員会第一次全体会議にて政治局常務委員から外れ引退しました。

家族

大叔父に栗再温がいます。父親や父親の兄弟なども共産党関係者であり、典型的な「紅色家庭」です。

人物

名前は、共産党員の父が国民党との内戦で戦死した弟を思い、「戦地家書」から名付けられました。祖父が省部級を務めている高級幹部であるため、紅後代（紅三代）にあたります。

出自・経歴から陝西幇に数えられ、かつ陝軍の代表的人物とされます。習近平が河北省のある県で書記として活動していた際、隣県の書記であった栗戦書を頼りにしていたと言われています。よく酒を飲み、当時の上司との関係がうまくいっていなかった習近平からの相談を受けていたとも伝えられています。

河北省・陝西省・黒竜江省・貴州省と地方を渡り歩き実績を積んで来た官僚であり、中央政界とは縁がない存在でした。抜擢時の年齢が62歳と、省書記としては引退間近の時期でした。

2012年7月の弁公庁副主任への抜擢、9月の主任への昇格は周囲を驚かせ、「黒馬（ダークホース）」と評されました。黒竜江省省長選出時には、「苛めない、狡くない、怠けない」という「三不」を表明しました。

正規の学歴はないものの、独学で詩の創作を数十年続けており、その数は数百首にのぼると言われています。ボクシング観戦が好きで、京劇を聴くのも好みます。自己の性格を分析して両面性があると捉えており、豪放な面と意気地のない面があると述べています。

役職

第19期中国共産党中央政治局常務委員会委員
第18期・第19期中国共産党中央政治局委員
党中央国家安全委員会副主席
党中央保密委員会主任
元中国共産党中央弁公庁主任
党中央国家安全委員会弁公室主任
第16・17期中央候補委員
第18期・第19期中央委員

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