栗林五朔

栗林五朔：北海道の海運王、室蘭・登別開発の立役者

栗林五朔（くりばやし ごさく）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家、政治家です。新潟県三条市に生まれ、北海道室蘭市で物流事業を興し、栗林商会、栗林商船などを創立。「北の海に栗林あり」「海運王」と呼ばれました。

生涯

修学時代

慶応2年（1866年）に越後国で生まれ、幼少期は地元の学校で学びました。その後、新潟英語学校や私塾で学び、学問に励みました。父の死後、家業の製紙事業を継ぎますが、後に上京し、叔父の紹介で新潟物産の東京支店に勤務。簿記学校で商業簿記を学び、新潟物産本店でも勤務しました。この頃、大同団結運動に感化され、伯父の新聞経営にも携わりました。

北海道での事業展開

明治22年（1889年）、函館油蝋会社の残務整理のため北海道に渡ります。道内各地を巡る中で、室蘭の将来性を見抜き、明治25年（1892年）に移住。小売店を開業し、海運業に進出します。日本郵船や北海道炭礦汽船の貨物を取り扱うなどして事業を拡大し、栗林合名会社を設立。栗林牧場を開設し、登別温泉を買収するなど、多角的な経営を行いました。

政治家としての活動

明治28年（1895年）から室蘭の総代人や町会議員を務め、明治37年（1904年）には北海道会議員に当選。北海道庁立室蘭中学校の設立に尽力し、長輪線の輪西駅からの起工を働きかけるなど、地域発展に貢献しました。大正9年（1920年）には衆議院議員に当選し、政友本党に所属。普通選挙実施に反対する演説を行うなど、独自の政治信念を持って活動しました。北海道第二期拓殖計画にも積極的に関わりました。

死去

昭和2年（1927年）に胸膜炎が悪化し、東京で死去。その功績を称え、銅像が建立されました。

人物像

青年期は剣術を好み、書画を嗜みました。浄土真宗を信仰していましたが、禅宗にも興味を持ち、般若心経を信仰しました。また、アイヌの人々との交流を大切にし、その保護に尽力しました。

栗林家について

栗林家の先祖は九州菊池氏の一族で、南北朝時代に越後国に移住。江戸時代は呉服商を営みました。五朔の父は南蒲原郡書記を務めました。妻は歌人であり、登別温泉には歌碑が建てられています。長男は栗林商会会長、貴族院議員を務め、二男は栗林商船会長、馬主として活躍しました。

栗林五朔は、北海道の発展に大きく貢献した人物として、今もその名が語り継がれています。

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