桂川駅 (北海道)

桂川駅（かつらがわえき）

北海道の南部に位置する茅部郡森町、その鷲ノ木町に存在していた鉄道駅が、かつて北海道旅客鉄道（JR北海道）の函館本線に属していた桂川駅です。すでに廃駅となり、現在はその役割を終えています。駅にはH61という駅番号が付与されていました。

歴史

桂川駅の起源は、太平洋戦争のさなかに遡ります。戦時下の輸送力強化という目的のもと、1944年（昭和19年）に桂川信号場として開設されたのが始まりです。開設日については、一般的に9月1日とされますが、地元森町の町史では9月30日とされており、異なる記録が存在します。

信号場としての役割に加え、旅客扱いを開始した正確な時期は不明とされています。しかし、1973年（昭和48年）に国鉄北海道総局が発行した資料に、桂川信号場が既に旅客を取り扱っていた旨が記されていることから、遅くともこの年には仮乗降場として旅客輸送を行っていたと考えられています。

1949年（昭和24年）6月1日には、日本国有鉄道法が施行されたことにより、施設は日本国有鉄道（国鉄）に引き継がれました。

その後、函館本線の複線化が進められます。1971年（昭和46年）9月21日には、当信号場から石谷駅までの区間が複線化されました。さらに1979年（昭和54年）9月27日には、森駅から当信号場までの区間も複線化が完了します。これにより、列車交換などを担う信号場としての本来の役割はなくなりましたが、引き続き仮乗降場として旅客扱いは継続されました。

国鉄の分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）に継承されました。この移管と同時に、仮乗降場から正式な駅へと昇格し、「桂川駅」となりました。駅としての位置づけが明確になり、1990年（平成2年）3月10日には営業キロが設定されました。JR化後、2007年（平成19年）10月1日からは、分かりやすいように駅ナンバリングが導入され、H61の番号が与えられました。

長らく地域住民の生活を支えてきた桂川駅でしたが、社会情勢の変化とともに利用者は減少の一途をたどります。2016年（平成28年）6月2日、JR北海道は他のいくつかの駅と共に、桂川駅を翌年のダイヤ改正で廃止する意向を沿線自治体へ伝えたことが報道されました。そして、その意向通り、2017年（平成29年）3月4日に実施されたダイヤ改正に合わせて、利用者減少を理由に惜しまれつつも廃止され、駅としての歴史に終止符が打たれました。

駅名の由来

駅名は、駅の近くを流れる河川の名前にちなんで付けられたとされています。その川の名前は、かつてその付近にカツラの大木が密生していたことに由来するという言い伝えも残っています。

駅構造

桂川駅は地上に設けられた駅で、線路の両側に相対式ホームが2面あり、それぞれに線路が1本ずつ接する2面2線の構造を持っていました。線路自体が築堤と呼ばれる土盛りの上に敷かれていたため、地上の道路レベルからは階段を利用してホームまで昇り降りする必要がありました。二つのホームは互いに少しずれた位置に配置されており（千鳥配置）、ホーム間を行き来するには構内踏切を渡る必要がありました。ホームへの階段脇には、雨風をしのげる小さな待合所が設けられていました。駅員は配置されず、近隣の主要駅である森駅が管理する無人駅として運営されていました。

利用状況

開業から廃止に至るまでの乗降人員に関する詳細な統計は完全には残されていませんが、晩年は利用者の減少が顕著となり、駅廃止の大きな要因の一つとなりました。

駅周辺

駅が位置していた周辺地域には、北海道の主要な国道である国道5号線が通じています。その他には、富士見町簡易郵便局や、かつて存在した森町立鷲ノ木小学校などが見られました。また、国道5号線沿いには函館バスの「鷲の木」停留所があり、地域の主要な公共交通手段として機能していました。

廃止時の隣駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線
森駅 (H62) - 桂川駅 (H61) - 石谷駅 (H60)

関連項目

日本の鉄道駅一覧
* 桂川駅 (京都府)（同名の駅）

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