桂文治 (8代目)

8代目 桂 文治（かつらぶんじ）の生涯と芸風

基本情報

8代目桂文治（1883年1月21日 - 1955年5月20日）は、日本の著名な落語家であり、彼の本名は山路梅吉である。落語協会に所属し、彼の出囃子は『木賊刈り』であった。この落語家は、6代目桂文治の後妻を母に持ち、養子となった。

経歴

文治は東京に生まれ、最初は義太夫語りの竹本識古太夫（もしくは梅太夫）として活動を始めた。1898年5月、彼は6代目三笑亭可楽に入門し、翁家さん勝と名乗るようになる。その後は母の関係もあり、養子として6代目桂文治の後を継ぐことになる。1902年5月には4代目桂才賀として二ツ目に昇進した。

約1906年、文治は上方にて修業を行い、1908年9月には3代目桂文枝のもとで4代目桂慶枝に改名した。しかし文枝の死去に伴い、1909年には2代目三遊亭圓馬の弟子となり、2代目三遊亭小圓馬に改名。東京に戻った1911年には桂大和を名乗り、1913年には7代目翁家さん馬を襲名。この頃から彼は落語研究会に参加し、1917年には若手真打として活動を始める。1929年には8代目桂文治を襲名した。この名跡は上方への一時的な戻りを経て、再び江戸系に移行した。

1947年、落語協会初代会長の4代目柳家小さんが急死した後、文治は2代目会長に就任。その地位を1955年まで保ち続けたが、同年に彼自身が亡くなることになる。享年73、彼の墓は東京都港区の光圓寺にある。

芸風

文治の持ちネタは非常に幅広く、特に『祇園会』は彼の十八番として知られている。このネタでは京、大阪、江戸の異なる言葉を巧みに使い分けた。さらに、『縮上がり』や『五人廻し』といった廓話や、義太夫の背景を活かした『義太夫息子』、また、江戸前の『猫久』や『逸見十郎太』『将門』『八百蔵吉五郎』などの芝居噺でも知られた。特に、芝居噺における彼は、初代中村吉右衛門の声色を取り入れ、人気役者の特徴を模倣する独自のスタイルを確立した。

文治は江戸時代からの古い演出を大切にし、特別なイベントではろうそくの明かりで照明を行うなど、その独自性が評価された。

人物像

彼の風貌は一風変わっており、顔は黒く、面長で目はぎょろっとしている。この容姿から周囲には「写真の原板」や「茄子」などと呼ばれることもあった。加えて、「根岸の師匠」や「会長」といったあだ名がつけられている。

文治は風格や地位に見合った人望を持っていなかったとも言われ、元弟子の8代目文楽が彼の博打の手法に失望して離門するなど、彼の人物像は一部で冷ややかに認識されていた。また、若いころの美声売りも後に名跡を意識し過ぎるあまり、創造性が停滞してしまったとも評判だった。

文治は芸人としての道を模索し続けたが、晩年には聞き取りにくい話し方になり、高座の途中で客が帰ることもあったと言われている。最終的には引退同然の状態にあった。

弟子たち

文治の門下生には、桂文都、桂文七、翁家さん生、翁家馬之助、翁家さん助、桂文慶、東京の桂文三などが含まれていた。彼の影響は多くの後継者に受け継がれ、彼らの活動を通じて文治の芸風や精神が継承されている。

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