桃 (松型駆逐艦)

駆逐艦「桃」：激動の艦歴

太平洋戦争末期の1944年6月10日、舞鶴海軍工廠で建造された駆逐艦「桃」は竣工しました。松型[[駆逐艦]]（丁型）の4番艦であり、同名の艦としては2代目となります。竣工後、「桃」は訓練部隊である第十一水雷戦隊に編入。瀬戸内海で訓練を重ね、その後、新たに編成された第43駆逐隊に所属し、同隊はさらに第三十一戦隊に編入されました。

第三十一戦隊所属後は、航空戦艦「日向」と「伊勢」の護衛任務に従事。南方への進出を経て、マニラに進出しました。マニラでは、レイテ島への陸軍兵力輸送作戦である多号作戦に参加。作戦中、激しい戦闘に巻き込まれ、僚艦と共に敵機の攻撃を受けながらも、オルモックへの兵員揚陸に貢献しました。しかし、この作戦は、日本軍にとって大きな損失を伴う結果となりました。

12月14日、マニラ空襲で「桃」は大きな被害を受けます。艦の至近弾による損傷は深刻で、艦の機能に支障をきたし、最大速度は14ノットまで低下。戦闘員にも多数の死傷者を出しました。応急修理もままならない状態となった「桃」は、修理のため台湾の馬公への退避を余儀なくされました。

退避途中、12月15日夜、マニラ西方沖でアメリカ潜水艦「ホークビル」の雷撃を受け、撃沈されました。艦長以下多くの乗組員が戦死したと伝えられています。

「桃」の艦歴は、太平洋戦争末期の激動の状況を象徴するものです。短期間ながらも、数々の作戦に参加し、多くの犠牲を払った艦として、日本海軍史にその名を残しました。建造からわずか半年足らずの期間での活躍は、過酷な戦況を物語っています。

建造経緯

「桃」は、1942年の戦時建造補充計画に基づき、舞鶴海軍工廠で建造されました。1943年11月5日に起工し、翌1944年1月25日に艦名が「桃」と命名され、同時に「竹」、「梅」と共に松型[[駆逐艦]]に類別されました。進水は同年3月25日。益満行孝少佐が艤装員長に任命され、竣工と同時に初代艦長に就任しました。

竣工後

竣工後、「桃」は訓練部隊に所属し、瀬戸内海で訓練を継続しました。7月には、秋月型[[駆逐艦]]や他の松型[[駆逐艦]]と共に第43駆逐隊を編成。第十一水雷戦隊に編入され、様々な訓練や演習に参加しました。8月には、第四航空戦隊の夜間射撃訓練において曳的艦としての役割も担いました。

第三十一戦隊

8月20日、「桃」は第三十一戦隊に編入。軽巡洋艦「五十鈴」を旗艦とする同戦隊は、その後、航空戦艦「日向」と「伊勢」を護衛し、南方への進出を開始しました。この南方進出の過程で、戦隊旗艦「五十鈴」や僚艦「霜月」がアメリカ潜水艦の攻撃を受け、損傷または沈没するという事態が発生。 「桃」はこれらの艦の護衛や生存者の救助にも従事しました。

多号作戦と沈没

レイテ島への陸軍兵力輸送作戦である多号作戦では、輸送船団の護衛を務めました。作戦中は激しい空襲を受け、僚艦の損傷や輸送船の撃沈、多くの死傷者も発生しました。「桃」自身も、暗礁に乗り上げるなどの危険を回避しつつマニラに帰投しましたが、その後のマニラ空襲で再び大きな損害を受け、馬公への退避中にアメリカ潜水艦「ホークビル」の雷撃により撃沈されました。

歴代艦長

「桃」の艦長は、竣工から沈没まで、益満行孝少佐、そして皆川芳雄少佐が務めました。皆川少佐は沈没と同時に戦死しました。

参考文献

本文中の記述は、複数の文献を参考に作成されています。これらの文献には、日本海軍の艦艇に関する詳細な情報や、当時の戦況が記録されています。具体的な参考文献は、省略しますが、これらの資料を基に、可能な限り正確な情報を記述するように努めました。

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