桃園神社

桃園神社は、日本統治時代の台湾、新竹州桃園郡に位置した神社で、現在の桃園市桃園区虎頭山にありました。この神社は、日本統治時代の外地の神社としては珍しく、創建当時の社殿がそのまま残されており、その歴史的価値から台湾の国家三級古蹟に指定されています。

歴史

1930年代、日本は台湾の各町に神社を創建する政策を推進しました。桃園神社もその一環として1935年に創建が決定し、1938年6月10日に落成、鎮座式が執り行われました。社格は県社で、北白川宮能久親王、大国魂命、大己貴命、少彦名命、豊受大神、明治天皇が祀られていました。

しかし、第二次世界大戦後、台湾が中華民国に統治されると、桃園神社は新竹県忠烈祠と改称されました（当時はまだ桃園県は存在しませんでした）。1950年には桃園県忠烈祠となり、日本の神々は祀られなくなり、代わりに鄭成功、劉永福、丘逢甲の像や、反清・抗日の殉国の烈士である国民政府軍将兵の位牌が置かれました。

1974年2月、日華断交後、国民党政府は「日本統治時代の日本の帝国主義的なものを全て取り除く」という命令を発令しました。これにより、台湾各地の多くの神社が破壊される中、桃園神社は住民の反対運動と一部学者の「神社とはいえ唐風の建物であり、中国伝統建築様式の保存ともいえる。日本による侵略の歴史的証明として残すべきである」という主張により、破壊を免れ、日本統治時代の姿を保ちました。

1985年、政府は忠烈祠を改築するという名目で神社の撤去を計画しましたが、世論と学界の強い反対により撤回されました。その後、保存が決まり、翌年から修復工事が行われ、1987年1月30日に完了しました。1994年2月15日には、国家三級古蹟に指定されました。

2016年以降、再び修復が行われ、忠烈供養施設と歴史文化施設を併せ持つ観光スポットとして「桃園孔子廟忠烈祠文化公園」と改名されました。この施設は、日本の神社が保存された貴重な場所として観光客に人気があります。2022年には、鳥取神社（釧路市）から天照大神などの分霊3体が勧請されましたが、批判を受けて分霊は再び日本へ戻されました。これに対し、民進党市議団は、国民党市長時代にイデオロギーを理由に桃園市の観光発展が妨げられたと反発しました。

このように、桃園神社は、その歴史的変遷の中で、政治的、文化的背景の影響を受けながらも、その姿を今日まで残しており、台湾における歴史と文化を伝える貴重な遺産となっています。

脚注

往昔の神社-中華僅存日治時代台灣之桃園神社-漢文会舘
桃園忠烈祠

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