桐原捨三

桐原捨三：教育者、ジャーナリスト、そして政治家への道

明治時代、教育界とジャーナリズム、そして政界と、多様な分野で活躍した桐原捨三。埼玉県鴻巣市に生まれ、慶應義塾で学んだ彼は、その後の人生で数々の重要な役割を担うことになります。

教育者としての歩み：

1878年、慶應義塾卒業後、駅逓局を経て、1880年には三菱商業学校を卒業。福澤諭吉の紹介によって、大阪商業会議所の五代友厚に迎えられ、大阪商業講習所の所長に就任しました。この講習所は後に大阪高等商業学校へと発展していきます。この経験は、彼の教育者としての才能を大きく開花させました。教育者としてだけでなく、彼は組織運営にも秀でた能力を発揮したと言えるでしょう。

ジャーナリストとしての才能：

大阪高等商業学校での職務の後、桐原捨三はジャーナリストとしての道を歩み始めます。大阪新報、神戸新報、改進新聞と、複数の新聞社で経験を積んだのち、1899年には大阪毎日新聞へ移籍。そこで彼は、予想投票や人気投票といった斬新な企画を数多く生み出し、「桐原式」と呼ばれる独自のスタイルを確立しました。これらの企画は新聞の販売促進に大きく貢献し、新聞業界に大きな影響を与えたことは間違いありません。新聞における企画力、読者動向を捉える鋭い洞察力が、彼のジャーナリストとしての成功を支えたと言えるでしょう。

政界への挑戦：

ジャーナリストとしての成功にとどまらず、桐原捨三は政界にも進出を試みました。1882年には立憲改進党の評議員となり、1889年には東京市会議員選挙に当選。さらに、1890年と1892年には衆議院議員総選挙に立候補しましたが、残念ながら落選という結果に終わりました。政治家としては成功を収められませんでしたが、政治への関与は彼の活動範囲の広さを示す一例です。

晩年とその後：

大阪毎日新聞退社後は、東京国文社社長に就任。晩年まで精力的に活動を続けました。1926年、脳溢血のため60歳で死去しました。

まとめ：

桐原捨三の生涯は、教育、ジャーナリズム、そして政治と、実に多方面にわたる活躍で彩られています。慶應義塾での学びを土台に、持ち前の才能と行動力で、それぞれの分野で独自の功績を残しました。特にジャーナリズムにおける彼の革新的な企画は、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼の生涯は、激動の明治時代を生き抜いた一人の人物像を示すと共に、時代を先取りする先見性と、多様な分野で活躍できる才能の持ち主であったことを示すものです。彼の功績は、現代においても学ぶべき点が多く存在すると言えるでしょう。

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