桑木厳翼

桑木厳翼 (くわき げんよく) の生涯と業績

桑木厳翼（1874年6月25日 - 1946年12月15日）は、日本の著名な哲学者であり、文学博士としても知られています。彼は東京帝国大学の名誉教授として、学界に多大な影響を与えました。

生い立ちと教育

桑木は東京において、旧加賀藩士の家庭に生まれました。幼少期から教育に恵まれ、共立学校や第一高等中学校を経て、1896年には帝国大学文科大学哲学科を首席で卒業しました。その後、大学院に進学し、多くの著名な哲学者と共に学びました。

哲学者としてのキャリア

桑木は1898年に東京専門学校の講師に就任し、さらに第一高等学校教授や東京帝国大学文科大学の助教授となり、1902年には『哲学概論』を発表し文学博士の学位を取得しました。彼はその後も様々な学校での講師や教授を務め、1914年に東京帝国大学教授に就任しました。この時期から彼の哲学的な見解は徐々に文化主義に進化していくことになります。

1906年には京都帝国大学に移り、ヨーロッパでの留学を通じて新カント派の哲学を学びました。その後、彼は文化主義の象徴的な人物として認識され、1925年には帝国学士院の会員に選ばれました。1935年には定年退官し、その後名誉教授の称号を授与されました。

研究内容と業績

桑木は、特にカント哲学の専門家として知られ、新カント派の哲学を日本に紹介しました。彼の著作、『哲学概論』は日本で初めての哲学の概論書とされています。また、彼は日本における倫理学の研究の先駆者でもあり、旧来の論理学に対する新しい視点を提供しました。

さらに、桑木は「丁酉倫理会」という日本初の倫理学研究会でも活動し、会員として倫理学の発展に貢献しました。彼の研究は、日本の哲学界において重要な位置を占めており、西田幾多郎や高橋里美と並ぶ哲学者として名を馳せました。

家族と親族

桑木の家族は彼の学問の道を支えました。彼の妻は桑木誠であり、長女の小金井素子も著名な歌人として知られています。弟の桑木彧雄は物理学者であり、その子供もまた哲学に従事するなど、桑木家は学問の家系として栄えていきます。

著作と翻訳

桑木は多くの著書と翻訳を手掛け、日本の哲学界において数多くの成果を残しました。中でも次の著作が重要です：『倫理学』（1897）、『哲学史要』（1902）、『哲学序説』（1914）。これらは後世の哲学者たちに多大な影響を与えました。

最後の年

1946年、桑木は貴族院の勅選議員に任命されましたが、在任中に死去しました。彼の墓所は文京区の真浄寺にあり、今も彼の業績が語り継がれています。

桑木厳翼の人生は、学問への情熱、教育者としての献身、そして文化主義の普及に捧げられました。彼の思想は今なお多くの人々に影響を与えており、その業績は日本の哲学史において重要な位置を占めています。

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