桑田三郎

桑田 三郎（くわだ さぶろう）

1919年5月6日に生まれ、2013年9月14日に逝去した桑田三郎は、日本の法学界において国際私法、商標法、そして工業所有権法という三つの専門分野で多大な貢献をした研究者、教育者、そして実務家でした。中央大学では長きにわたり教鞭を執り、同大学の名誉教授の称号を得ました。また、高岡法科大学の設立に携わり、初代学長として草創期の大学運営を牽引しました。さらに、弁護士としての活動も行いました。

経歴

桑田三郎氏は、1919年に広島県で生を受けました。若くして兵役に就いた経験を持ち、その間に八杉貞利氏に師事してロシア語を習得するなど、語学にも秀でていました。1945年に太平洋戦争が終結し復員すると、法曹の道を志します。1947年に高等試験司法科試験に合格し、弁護士試補としての期間を経て、翌1948年には弁護士登録を果たすとともに、第一東京弁護士会に所属しました。並行して、1949年には中央大学法学部法律学科を卒業しました。

大学卒業後、桑田氏はそのまま中央大学法学部の助手として研究教育のキャリアを開始します。助手時代には、学外指導教授として著名な国際私法学者である江川英文氏に師事し、専門分野の研究を深めました。その後、順調に昇進を重ね、1953年には同法学部助教授に、1961年には教授へと昇任しました。中央大学における在職期間中、桑田氏は教育・研究活動に加え、大学運営においても重要な役割を担いました。1965年から1966年にかけて学生部長を務めたほか、1966年からは中央大学評議員、1969年からは法学部長を歴任し、さらに1969年には中央大学学長事務取扱として、大学の要職を担いました。1977年には、学位論文「国際商標法の研究」を中央大学に提出し、法学博士号を取得しました。1981年から1984年までの期間は、中央大学国際交流センターの所長として、学術交流の推進にも尽力しました。1989年に中央大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与されました。

中央大学を退職後、桑田氏は高岡法科大学の初代学長に就任し、新たな大学の設立と発展に貢献しました。1991年に学長の職を退いた後も、同大学法学部の教授として教鞭を執り続けました。1995年に高岡法科大学を定年退職した後も、教育への情熱は衰えず、1999年まで中京法律専門学校で非常勤講師を務めました。また、学外活動としては、1986年から1990年まで日本工業所有権法学会の理事長を務めるなど、専門分野の発展に貢献しました。

研究内容・業績

桑田氏の研究は、国際私法、商標法、工業所有権法という知的財産法に関連する分野を中心に展開されました。これらの分野における理論的探究は、数多くの著書や論文として結実しました。また、教育者として多くの門下生を育成し、法学研究者や実務家として社会に送り出しました。主な門下生には、山内惟介（中央大学名誉教授）、大瀬戸豪志（元甲南大学教授）、笠原俊宏（元東洋大学教授）、井之上宣信（元高岡法科大学助教授）といった顔ぶれがいます。

主要著書

グスタフ・ラートブルフ著、桑田ほか共訳『法における人間』（東京大学出版会、1962年）
『国際私法研究』（文久書林、1966年）
『国際私法と国際法の交錯』（中央大学出版部、1966年）
『国際商標法の研究 : 並行輸入論』（中央大学出版部、1973年）
『工業所有権法における比較法』（中央大学出版部、1984年）
『国際私法の諸相』（中央大学出版部、1987年）
ディーター・ヘーンリッヒ著、桑田編訳『西ドイツ比較法学の諸問題』（中央大学出版部、1988年）
『国際商標法の諸問題』（中央大学出版部、1992年）
『工業所有権法における国際的消耗論』（中央大学出版部、1999年）
山内惟介と共編『ドイツ・オーストリア国際私法立法資料』（中央大学出版部、2000年）

桑田三郎氏は、長年にわたり法学の研究と教育に情熱を注ぎ、特に国際私法や知的財産法分野の発展に貢献した、日本の法学界における重鎮の一人でした。

• ---

（注：本稿は入力情報に基づいて記述しており、参考文献リスト等は含まれていません。）

もう一度検索