桑田芳蔵

桑田芳蔵について

桑田芳蔵（くわだ よしぞう、1882年7月11日生まれ）は、日本の著名な心理学者であり、特に民族心理学の分野で重要な貢献をしたとされています。彼は東京帝国大学および大阪大学で名誉教授としての地位を確立し、心理学の発展に大きく寄与しました。

生い立ちと学問経歴

桑田は鳥取県に生まれ、貴族院議員の桑田藤十郎を父に持つ家庭に育ちました。兄弟には桑田熊蔵や桑田六郎がいました。1905年には東京帝国大学文科大学哲学科心理学専修科を卒業し、翌年には同大学の助手として勤務を始めます。1910年に大学院を中退した後、海外留学を経て1912年に帰国。1913年には東京帝国大学で講師に就任し、1917年には助教授に昇進し、民族心理学を専門に講義を行いました。

1921年には「霊魂崇拝と祖先崇拝」という研究で文学博士の学位を取得し、1926年には文学部の教授に任命されました。その後、1935年には東京大学の評議員となり、文学部長としても活動しました。また、1941年には東京大学東洋文化研究所の初代所長に就任します。1943年に定年退官後、名誉教授となり、1948年には大阪大学法文学部長に就任、その後も教授として教育に尽力し、1949年に再び定年退官しました。

桑田はまた、日本心理学会の会長を務め、1951年には名誉会員に選ばれ、その業績が広く認められています。

著作と業績

桑田芳蔵は多くの著作を残しており、その中には『霊魂信仰と祖先崇拝』（1916年）、『ヴントの民族心理学』（1918年）、『宗教心理』（1924年）、『心理学』（1927年）などが含まれています。これらの著作を通じて、彼は心理学の理論や実務に対する独自の視点を提供しました。

彼の論文も多岐にわたり、『哲学雑誌』や『心理研究』などの学術雑誌に数多く掲載されています。特に「民族心理学の意義及び任務」、「群衆の心理」、「霊魂観念の起源」などの研究では、民族や文化における心理的側面について深く探求しています。これにより、彼の研究はその後の心理学の発展に大きな影響を与えました。

終焉とその影響

桑田芳蔵は1967年10月10日に逝去しましたが、彼の業績は心理学の分野における重要な礎石となっています。彼の研究は、民族心理学の発展はもちろん、心理学全般に多大な影響を与え、多くの後進の研究者たちに引用される存在となっています。桑田の思想や理論は、現在でも心理学界における重要な参考資料とされ、彼の名は日本の心理学史に刻まれています。

桑田芳蔵の業績は、彼の死後も引き継がれ、新たな研究の芽となっていることは間違いありません。彼の生涯を通じて築いた心理学の基盤は、今後の学問の発展にも貢献し続けることでしょう。

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