桜井好朗

桜井好朗

桜井好朗（1931年9月17日 - 2014年5月8日）は、日本の著名な国文学者であり、文学博士号を持つ。椙山女学園大学名誉教授、元佛教大学教授という肩書きに加え、花井純一郎のペンネームで詩人としても活動した。

略歴

愛知県瀬戸市に生まれた桜井は、1954年3月に名古屋大学文学部史学科を卒業。教員生活を経て、豊田工業高等専門学校で教鞭を執った後、1974年に椙山女学園大学助教授、1976年に教授に就任。

1977年には、「神々の変貌」の研究で名古屋大学から文学博士号を授与された。1982年には、『中世日本文化の形成－神話と歴史叙述』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。東京大学からの教授就任の誘いを固辞し、長年勤めた椙山女学園大学に留まった。

1997年、椙山女学園大学の国文学科の扱いの変化を機に同大学を辞任。同年、佛教大学文学部教授に就任し、2001年に退任。その後は、黄塵草堂桜井私塾を主宰し、読書会を開いた。

2014年5月8日、名古屋市の自宅で82歳で逝去。

人物・研究

桜井は、1960年代から中世日本紀・中世神話研究の第一人者として活躍。中世史、中世文学を基盤に、隠者、宗教、芸能など、幅広いテーマを研究対象とした。また、塚本邦雄など現代歌人に関する論考や、花井純一郎名義での詩歌創作も行った。

芸術選奨文部大臣賞受賞や東京大学出版会からの著書出版からもわかるように、研究者としての評価は非常に高かった。東京大学からの教授就任の誘いもあったが、桜井は地元の椙山女学園大学での研究環境を重視し、自身のペースで国文学にとらわれない自由な研究活動を続けた。

椙山女学園大学短期大学部の桜井ゼミは、大学院レベルの研究指導が行われていたことでも知られている。子供はおらず、夫婦二人の生活を送っていた。

受賞歴

1982年 芸術選奨 文部大臣賞 - 『中世日本文化の形成－神話と歴史叙述』

著書

『隠者の風貌 隠遁生活とその精神』 塙書房(塙選書) 1967年
『日本の隠者』 塙書房(塙新書) 1969年
『中世日本人の思惟と表現』 未来社 1970年
『花井純一郎詩歌集 祝祭空間』 母岩社 1972年
『中世日本の精神史的景観』 塙書房 1974年
『神々の変貌 社寺縁起の世界から』 東京大学出版会 1976年
『吉野の霧 太平記』 平凡社名作文庫 1978年
『中世日本文化の形成 神話と歴史叙述』 東京大学出版会 1981年
『空より参らむ 中世論のために』 人文書院 1983年
『中世日本の王権・宗教・芸能』 人文書院 1988年
『祭儀と注釈 中世における古代神話』 吉川弘文館 1993年
『儀礼国家の解体 中世文化史論集』 吉川弘文館 1996年
『中世日本の神話と歴史叙述』 岩田書院 2006年

編著・共著

『古典と現代』 中央公論社 1974年
『一休・蓮如』 吉川弘文館 1983年
『神と仏 仏教受容と神仏習合の世界』 春秋社 1985年
『椙山女学園大学短期大学部二十周年記念論集』 椙山女学園大学短期大学部 1989年
『冥顕論 : 日本人の精神史』 法藏館 2012年

関連項目

中世日本紀
芸術選奨
文部大臣賞

外部リンク

* 吉川弘文館「桜井好朗」

もう一度検索