桜京美

桜京美：多才な女優・声優の波乱に満ちた生涯

桜京美（さくら きょうみ）は、1930年6月3日生まれの日本の女優、声優です。5歳の時に童謡歌手としてデビューし、その後、エヌ・エー・シーを経て劇団たんぽぽに入団しました。戦後の1954年からは、喜劇女優としてテレビやラジオを中心に活躍を始めます。

特に、1958年から放送開始されたNHKのテレビ番組『お笑い三人組』での真知子役は、彼女を広く知らしめるきっかけとなりました。その人気は、多くの視聴者を魅了しました。女優としての活動と並行して、桜京美は声優としても才能を発揮します。代表的な作品として、NHKの人形劇『チロリン村とくるみの木』でのカッパのコン吉役が挙げられます。他にも数多くのアニメや吹き替え作品に参加し、その幅広い演技力で高い評価を得ました。

桜京美は、テレビタレントとしても活動し、バラエティ番組にも出演するなど、多方面で才能を開花させました。しかし、1985年頃から体調を崩し、芸能活動をセーブせざるを得なくなります。1987年には胃の手術を受けましたが、芸能界への復帰を目指し、1988年3月には新たな芸能事務所と契約を結びました。

しかし、1988年11月10日頃、自宅で亡くなっているのが発見されました。享年58歳でした。発見された際には遺体が腐乱しており、吐血の跡があったと伝えられています。警察による捜査の結果、事件性はないと断定されました。自宅に保管されていた日記には、「だるい」「血便が出る」といった記述があり、最後の記述が前年の11月10日で途絶えていたことから、その頃に病死し、独居生活を送っていたため発見が遅れたと推測されています。当時「孤独死」という言葉は一般的ではなく、彼女の訃報は大きな衝撃を与えました。

桜京美は、名前が似た同業者である小桜京子さんと混同されることもありましたが、実際にはフジテレビの『ライオンのいただきます』やTBSの『ロボッタン』などで共演するなど、親交もあったようです。桜京美の死後、小桜京子さんの元に献花が届いたというエピソードも伝えられています。

桜京美の出演作品は多岐に渡ります。映画では『歌くらべ三羽烏』、『欲』、『すっ飛び五十三次』など、数多くの作品に出演。コメディーからシリアスな役まで、幅広い演技力で観客を魅了しました。テレビドラマでは、『お笑い三人組』、『てなもんや三度笠』、『水戸黄門』、『太陽にほえろ！』、『大江戸捜査網』など、人気作品に多数出演。時代劇から現代劇まで、その演技力は高く評価されました。

アニメでは『ルパン三世』シリーズに複数回出演。吹き替えでは『アイ・ラブ・ルーシー』のルーシー・リカード役、『雨に唄えば』のリナ役、『おかしな夫婦』のグウェン役など、数多くの作品で、その声の演技も高く評価されています。

桜京美は、女優、声優、そしてタレントとして、昭和のエンターテインメントシーンで活躍した、個性豊かな人物でした。彼女の生涯は、華やかな表舞台と、知られざる孤独な最期という、対照的な側面を併せ持ち、多くの人々に深い印象を残しています。彼女の活躍は、今もなお人々の記憶の中に生き続けています。

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