桜島爆発記念碑

桜島爆発記念碑について

桜島爆発記念碑（さくらじまばくはつきねんひ）は、1914年（大正3年）に発生した桜島の大正大噴火の災害を後世に伝えるために建立された石碑です。この石碑は複数存在しますが、特に有名なのは、1924年（大正13年）に当時の鹿児島県鹿児島郡東桜島村大字湯之（現在の鹿児島市東桜島町）に建てられたものです。この記念碑は現在、鹿児島市立東桜島小学校の敷地内に位置しています。

石碑の概要

記念碑の高さは約2.5メートルで、碑文には大正大噴火の被害状況や教訓が刻まれています。大正大噴火の教訓を伝える石碑は、桜島からの避難者たちが移住先で建立したものが多く、鹿児島県内には約50基確認されています。この中でも、特に東桜島小学校にある記念碑が注目される理由は、碑文の内容が「科学不信の碑」として知られているためです。

碑文の内容と経緯

碑文には、当時の東桜島村長・川上福次郎の経験に基づいた教訓が記されています。川上村長は、噴火前に鹿児島測候所（現在の鹿児島地方気象台）の情報を信用し、住民に避難を指示しませんでした。その結果、多くの犠牲者が出てしまったことを深く悔い、この教訓を後世に伝えるために石碑の建立を決意しました。

当初、川上村長は「測候所を信用して多くの死者を出した。住民は桜島の異変を知ったら、理屈を信用しないで未然に避難せよ」という文面を希望していました。しかし、実際に碑文を執筆した当時の鹿児島新聞（現：南日本新聞）の記者・牧暁村は、「測候所」という言葉を「理論」に置き換え、「理論ニ信頼セス」という表現にしました。この変更によって、この石碑は「科学不信の碑」として広く知られるようになりました。

川上村長自身は碑の完成を見ることなく亡くなりましたが、噴火から10年後の1924年1月、後任の村長・野添八百蔵によって碑が建立されました。

拓本採取と現状

2014年が桜島大正大噴火100周年にあたることから、鹿児島県立博物館では2013年度に企画展を開催し、その一環として、この記念碑を含む被害を伝える石碑の拓本採取を行いました。これらの石碑の多くは、もろい溶結凝灰岩でできているため、風化によって碑文が読みにくくなっている現状があります。拓本採取は、石碑に刻まれた歴史的教訓を後世に伝えるための重要な取り組みです。

まとめ

桜島爆発記念碑、特に東桜島小学校にある碑は、大正大噴火の悲劇を伝えるだけでなく、災害時に科学的な情報だけでなく、自身の判断で行動することの重要性を教えてくれます。「科学不信の碑」という側面から、情報に対する批判的な視点を持つことの大切さを私たちに示唆しています。この石碑は、単なる記念碑ではなく、災害に対する備えや教訓を現代に伝える重要な歴史的遺産です。

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