桜島線

JRゆめ咲線（桜島線）：大阪のベイエリアを彩る鉄路

JRゆめ咲線、正式には桜島線は、大阪府大阪市此花区の西九条駅から桜島駅を結ぶ西日本旅客鉄道（JR西日本）の路線です。旅客案内ではほとんど「桜島線」の名は用いられず、「JRゆめ咲線」の愛称が広く浸透しています。

概要：臨海部の産業と観光を繋ぐ路線

桜島線は、大阪環状線と接続する西九条駅を起点とし、大阪駅方面からの直通列車も運行されています。日本製鉄関西製作所などの臨海工業地帯への通勤路線としての役割に加え、2001年3月のユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）開業後は、USJへのアクセス路線として重要な役割を担っています。

さらに、吹田貨物ターミナル駅からの貨物路線（梅田貨物線経由）も接続し、西九条駅から安治川口駅間にはJR貨物の貨物列車も運行されています。USJ開業を機にユニバーサルシティ駅が開業、愛称「JRゆめ咲線」とラインカラー（紺色）が制定されました。この愛称は公募により決定され、ベイエリアの未来への期待を込めたものです。

全線はJR西日本近畿統括本部の管轄下にあり、大阪近郊区間、大阪環状線内電車特定区間、ICOCAエリアに含まれています。

路線データ：主要なスペック

管轄・路線距離: JR西日本（西九条～桜島間 4.1km）、JR貨物（西九条～安治川口間 2.4km）
軌間: 1067mm
駅数: 4駅（西九条駅を含む）
複線区間: 全線（西九条～ユニバーサルシティ間は双単線）
電化区間: 全線直流1500V
閉塞方式: 自動閉塞式
保安装置: ATS-P
運転指令所: 大阪総合指令所
* 最高速度: 95km/h

沿線概況：安治川沿いの変化

桜島線は安治川の右岸を走行します。西九条駅を出発後、急勾配を上り、環状線をくぐり、住宅街や工場地帯を抜け、安治川口駅に到着します。ユニバーサルシティ駅以降は、USJ建設に伴う土地区画整理事業で線路が移設された区間で、高架橋を走行します。当初計画では、安治川口～桜島間を地下化しUSJ正門前に新駅設置予定でしたが、費用と工期の削減のため地上に変更され、USJ南側はシェルターで覆われた公園となっています。終点の桜島駅もUSJ南西端に位置しています。

西九条～ユニバーサルシティ間は双単線構造で、一方の線路が使用不能になった場合でも、USJからの乗客を円滑に輸送できるようになっています。そのため、各駅には逆方向の信号機が設置され、踏切には注意書き看板もあります。

運行形態：シャトルと直通運転

旅客列車は、線内折り返しのシャトル列車（西九条～桜島間）と、大阪環状線直通列車（天王寺～京橋～大阪～桜島間）があります。日中のシャトル列車は、1時間に4本運行されています。USJ開業以来、日中のシャトル列車は1編成で運行されていましたが、2006年のダイヤ改正以降は2編成に増えました。

2012年3月17日以降、日中はシャトル列車のみとなり、大阪駅～天王寺駅間の運行形態に変更がありました。西九条駅では、環状線直通列車は2・3番のりば、一部は1番または4番のりばから発着します。2020年3月14日のダイヤ改正から、西九条駅の構内改良により、朝ラッシュ時の運行本数が6分間隔に増加しています。列車番号はシャトル列車が600・700番台、直通列車が1500番台または2300～2500番台です。323系電車は路線記号と紺色のラインカラーを表示し、環状線列車と区別されています。

女性専用車：安全と安心の配慮

2011年4月18日より、8両編成の4号車が毎日終日女性専用車として設定されています。

臨時列車：USJのイベント対応

USJの多客時には臨時列車が運転されます。過去には、USJイベントに合わせた臨時快速列車や特急列車が運行されていましたが、近年は減っています。大晦日から元旦にかけては、終夜運転が実施されています。

貨物列車：歴史と現状

桜島線は貨物輸送の役割も担っており、JR貨物によって運行されています。

使用車両：歴史を刻む車両たち

現在、旅客列車は323系電車で運行されています。以前は、101系、103系、201系などが使用されていました。USJ開業以降は、USJラッピング車両も運行されており、時代の変化を反映しています。現在も323系でUSJラッピング車両が運行されています。

輸送改善：USJ開業前後

USJ開業前には、USJへのアクセス向上のための線路移設や駅改良が行われました。USJ開業後は、乗車人員が大幅に増加し、混雑緩和のため、西九条駅とユニバーサルシティ駅の改良工事が行われました。2025年大阪・関西万博に向けて、さらに輸送力強化が計画されています。

延伸計画：ベイエリアの未来へ

桜島線は、大阪府咲洲庁舎や夢洲へのアクセス向上のため、延伸計画が検討されています。夢洲は2025年万博の会場でもありますが、JR西日本は万博開催のみでの延伸は実施しないと表明しています。延伸計画では、港湾護岸の下を通る地下化が検討されています。

歴史：西成線から桜島線へ

桜島線は、西成鉄道の西成線の一部が分離されたものです。当初は沿線工場への貨物輸送や通勤路線でしたが、USJ開業後、観光路線としての役割も担っています。西成線の歴史は明治時代に遡り、様々な変遷を経て現在の桜島線に至っています。

駅一覧

西九条駅、安治川口駅、ユニバーサルシティ駅、桜島駅

廃止区間

安治川口駅～大阪北港駅間の貨物支線

まとめ

桜島線は、産業、通勤、観光と、時代とともに役割を変えながら発展してきた路線です。USJの開業を機に大きく変貌を遂げ、現在も大阪のベイエリアの活性化に貢献しています。今後の延伸計画も注目されるところです。

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