桟橋車庫前停留場

高知県高知市に位置する桟橋車庫前停留場は、とさでん交通桟橋線が停車する路面電車の停留場です。正式名称に加え、近隣の高知市立自由民権記念館へのアクセスが便利なことから、「自由民権記念館前」という副名称も併用されています。

歴史

この停留場は、1904年（明治37年）5月2日に土佐電気鉄道（現在のとさでん交通の前身）によって潮江線（現在の桟橋線の一部）が開通した際に、「桟橋停留場」として開業しました。当時の終点はこの場所でした。翌年の1905年（明治38年）4月7日に、路線がさらに南へ延伸され、新たに現在の桟橋通五丁目停留場にあたる「桟橋停留場」が開業すると、既存の停留場は「岸壁通停留場」と改称されました。ただし、この改称の正確な時期は不明です。一説には、1905年の延伸と同時に一度廃止された後、1953年（昭和28年）以前に「岸壁通」として再び開設されたとも言われています。

その後、1987年（昭和62年）12月1日には、知寄町から車両基地機能が移転し、隣接地に桟橋車庫と車両工場が完成しました。この新しい車庫にちなんで、2007年（平成19年）1月10日には「岸壁通停留場」から現在の「桟橋車庫前停留場」へと名称が変更されました。

さらに、2009年（平成21年）1月22日には、停留場自体が市道の延伸工事に伴い、元の位置から約50メートル北（高知駅側）へ移設されました。この移設により高知市立自由民権記念館へのアクセスが向上したことを機に、「自由民権記念館前」という副名称が付けられました。これは、記念館側が以前から停留場名への名称追加を要望しており、土佐電気鉄道がその要望に応えた形です。停留場の移設と副名称の使用開始を記念する式典は、同年2月8日に実施されました。

2014年（平成26年）10月1日には、土佐電気鉄道が高知県交通および土佐電ドリームサービスと経営統合し、新たな事業者であるとさでん交通が発足しました。これに伴い、この停留場もとさでん交通の管理下に入りました。

構造

桟橋車庫前停留場は、一般の道路上に軌道が敷設された併用軌道区間に設けられています。停留場構造としては、線路を挟んでホームが向かい合う形式の相対式ホームが2面設置されています。南北方向に伸びる2本の線路の東側に位置するのが桟橋方面行きのホーム、西側に位置するのが高知駅方面行きのホームです。前述の通り、2009年に行われた移設工事により、停留場全体が約50メートル北側へ移動しています。

周辺

この停留場のすぐ隣には、とさでん交通の車両基地である桟橋車庫が広がっています。この車庫は1987年に知寄町から移転して以来、重要な役割を果たしています。車庫への電車の出入りには特徴があり、車庫から外へ出る（出庫する）ための線路は、上り線（桟橋方面行き）にのみ接続しています。そのため、桟橋車庫を出庫した電車は、一つ北隣にある桟橋通四丁目停留場を最初の停車駅として運行を開始します。一方、車庫へ戻る（入庫する）電車は、すべてこの桟橋車庫前停留場を終点として到着し、停留場に設けられた渡り線を利用して車庫内へと入ります。

停留場を出てすぐの場所には、徒歩わずか1分程度で到着できる高知市立自由民権記念館があります。この記念館の存在が、停留場に副名称が付与された大きな理由の一つです。また、動物園や子供向けの遊び場などが一体となったわんぱーくこうち（わんぱーくこうちアニマルランドを併設）も、この停留場から比較的近い距離に位置しています。

かつて停留場名に使われた「岸壁」という言葉は、高知港のフェリーが発着していた岸壁を指していました。しかしながら、現在では港に出入りしていたフェリー航路はすべて撤退しており、当時の賑わいは見られません。その他、停留場周辺にはとさでん交通の本社・桟橋車庫関連施設や、主要地方道である高知県道34号桂浜はりまや線、高知東年金事務所などが見られます。

路線バスに関しても、近隣に「桟橋通五丁目」バス停留所があり、複数の路線が利用できます。ただし、桟橋車庫を始発とする一部の一般路線バスについては、桟橋通五丁目バス停ではなく桟橋車庫の正門で乗車扱いが行われます。また、高速バスの乗車については、桟橋車庫内の自動車棟に設置された「桟橋高知営業所」バス停留所が利用されます。

桟橋線における隣の停留場は、北側が桟橋通四丁目停留場、南側が桟橋通五丁目停留場です。

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