梅内忍

梅内忍：騎手から調教師へ、そして静かな別れ

梅内忍は、1944年4月1日、鹿児島県鹿屋市に生まれ、2019年9月10日、75歳でこの世を去った、元日本中央競馬会（JRA）栗東トレーニングセンター所属の調教師である。

彼の競馬人生は、1959年、馬事公苑の長期騎手課程講習から始まる。鹿児島から上京した彼は、郷原洋行、中神輝一郎ら、同じ鹿屋市出身の同期生と共に夢を追いかけた。1962年、京都競馬場で松元正雄厩舎所属の騎手としてデビューするも、初年度は勝利を掴むことができず、初勝利は翌年へと持ち越しとなった。その後、坪重兵衛厩舎を経て伊藤雄二厩舎に移籍。伊藤厩舎では主戦騎手として活躍し、厩舎初の重賞勝利に貢献するなど、数々の勝利を重ねた。

1972年、梅内慶蔵調教師の娘婿となり、梅内姓に改姓。同時に義父の厩舎に移籍する。同年デビューしたキシュウローレルにはデビュー戦から騎乗。デイリー杯3歳ステークスでは当時の日本レコードとなる1分22秒2で圧勝し、続く阪神3歳ステークスも制覇した。しかし、桜花賞では惜しくも2着に終わった。そして、繁殖入りを目的とした引退レースとなった京都牝馬特別で、レース中に骨折という悲劇に見舞われ、キシュウローレルは命を落とした。梅内自身も大腿骨骨折など、重傷を負う。

翌年、復帰を果たすも、体重増加体質が祟り、減量に苦しむようになり、成績は徐々に下降。1984年、騎手を引退し、調教助手へ転身する。調教助手時代には、マヤノジョウオの調教を担当。1987年、義父である梅内慶蔵調教師が死去し、厩舎が解散するも、直後にマヤノジョウオが北九州記念で勝利。新たな所属先となった加藤敬二調教師の配慮により、勝利調教師として表彰を受けた。

1989年、調教師免許を取得し、開業。セイユウ記念3連覇を達成したシゲルホームランなど、数々の名馬を管理。また、長女の梅内栄子は女性調教助手の草分け的存在として知られている。2015年2月28日、定年により調教師を引退。2019年9月10日、静かに家族に見守られながら生涯を閉じた。彼の死は、2年後の2021年8月、長女栄子のインタビュー記事で初めて公表された。

騎手時代には、キシュウローレル、メジロスイセイ、ミカファスト、デヤレストなど数々の名馬に騎乗し、通算253勝（うち重賞6勝）という輝かしい成績を残した。調教師として、スノージェット、シゲルホームラン、バンブーマリアッチ、ドンクールなどを管理し、その手腕は多くの関係者に高く評価された。

梅内忍の競馬人生は、多くの競走馬、そして人々との出会いによって彩られた、波乱に満ちた、しかしながら、常に情熱と努力を貫いた生涯であったと言えるだろう。彼の功績は、競馬史に長く刻まれることだろう。そして、その静かな死は、多くの関係者の心に深い悲しみと、同時に温かい余韻を残した。彼の生き様は、後進の指導者や騎手たちに、大きな影響を与え続けるであろう。

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