梅宮大社

梅宮大社について

梅宮大社（うめのみやたいしゃ）は、京都市右京区梅津に位置する神社で、その歴史は古く、奈良時代にまで遡ります。もともとは橘氏の氏神として祀られ、後に嵯峨天皇の皇后である橘嘉智子（檀林皇后）によって現在の地に移されました。この皇后が梅宮神に祈願して皇子を授かったという伝承から、子授けや安産の神として広く信仰されています。また、祭神に酒解神（さかとけのかみ）を祀ることから、酒造の神としても知られ、現在も多くの酒造関係者が参拝に訪れます。

歴史

梅宮大社の創建については、古い記録が失われているため、詳しいことは分かっていません。しかし、伝承によると、奈良時代に県犬養三千代によって現在の京都府綴喜郡井手町付近に祀られたのが始まりとされています。その後、橘諸兄によって氏神として祀られ、光明皇后や牟漏女王を経て、平安時代に檀林皇后によって現在地に遷されました。

平安時代末期の文献には、檀林皇后が氏神を円堤寺に祀ったことが記されています。この神が、大幣に預からなかったことに怒りを示したため、皇后自ら現在の地に移したという伝承が残されています。また、『日本三代実録』にも、梅宮社が檀林皇后に由来することが記されています。

その後、梅宮大社は橘氏から氏社として崇敬されるとともに、県犬養三千代が藤原不比等の夫人でもあったことから、藤原氏からも崇敬を受けました。

祭神

本殿には以下の4柱の神が祀られています。

酒解神（さかとけのかみ）：大山祇神に当てられ、酒造の守護神とされます。
大若子神（おおわくこのかみ/おおわくごのかみ）：瓊々杵尊に当てられます。
小若子神（こわくこのかみ/こわくごのかみ）：彦火火出見尊に当てられます。
酒解子神（さかとけこのかみ）：木花咲耶姫命に当てられます。

相殿には以下の4柱の神が祀られています。

嵯峨天皇
橘嘉智子（檀林皇后）
仁明天皇
橘清友公（橘嘉智子の父）

これらの祭神のうち、本殿に祀られる酒解神、大若子神、小若子神、酒解子神は、いずれも梅宮大社特有の神です。酒解神は、悪霊を祓う神や境界を守る神とする説がありますが、詳しいことは分かっていません。

境内

梅宮大社の境内には、以下の様な建物や施設があります。

本殿：江戸時代に再建されたもので、京都府登録有形文化財に指定されています。
拝殿：本殿と同じく、江戸時代に再建されたもので、京都府登録有形文化財です。
楼門：こちらも江戸時代の再建で、京都府登録有形文化財です。
若宮社：橘諸兄公を祀る摂社で、京都府登録有形文化財です。
護王社：橘氏公公と橘逸勢公を祀る摂社で、京都府登録有形文化財です。
またげ石：本殿の東側にあり、跨ぐと子が授かるとされる石です。
影向石：本殿の西側にある石で、熊野から飛来したカラスが石になったという伝承があります。
神苑：四季折々の植物が楽しめる庭園です。
酒殿
東門
茶室「池中亭」
土俵

祭事

梅宮大社では、古くから「梅宮祭」という例祭が行われてきました。かつては年に2度行われていたこの祭は、平安時代には雅楽祭として盛大に行われていました。現在では5月3日に神幸祭として行われています。

文化財

梅宮大社には、多くの文化財があり、特に本殿、拝殿、若宮社、護王社、楼門の5棟は、京都府登録有形文化財に指定されています。

現地情報

梅宮大社は、阪急嵐山線松尾大社駅から徒歩約10分の場所にあります。また、京都市営バスのバス停も近くにあります。境内には多くの猫が住み着いており、猫好きにも人気のスポットとなっています。

まとめ

梅宮大社は、歴史と文化が豊かな神社であり、子授け、安産、酒造の神として多くの人々に信仰されています。美しい社殿や庭園、そして愛らしい猫たちに会いに、ぜひ一度訪れてみてください。

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