梅本正之

梅本 正之（うめもと まさゆき）

梅本正之は、1936年8月10日生まれで、和歌山県の有田郡津木村（現在の広川町）出身の元プロ野球選手です。彼は主に投手として活躍し、その後コーチ、スコアラー、さらには寮長としても長い間プロ野球界に貢献しました。

経歴

梅本は少年時代にプロ野球選手の藤村富美男に憧れていました。その後、和歌山県立耐久高等学校に進学し、1954年には関西大会の県予選で準々決勝に進出しましたが、後にプロで同じチームメートとなる新宮高校のエース、前岡勤也に完封されてしまいます。高校時代577cmの身長を持ち、15km離れた自宅と学校の間を自転車で通うことで体力を鍛えることにも注力していました。

1955年には、大阪タイガース（現・阪神タイガース）に声をかけられ、プロとしてのキャリアをスタートします。契約金は20万円、給料は2万円という条件で入団しましたが、初年度は先輩投手の投球を受けて右手中指を骨折し、一軍での登板がありませんでした。

2年目の1956年にはプロ初登板を果たし、1957年の4月2日には国鉄戦で初の完投勝利を飾ります。その9日後には広島相手に初の完封勝利も達成しました。この年には合計で4勝4敗、防御率2.65という成績を残しますが、翌年には肩の関節周囲炎に悩まされます。

1962年には肩の痛みが続いたため外野手に転向しますが、一軍登板はほとんどなく、翌年には引退を決意し、二軍の育成コーチに就任します。コーチとしてもノック技術が高く評価され、「ノックの名人」と呼ばれました。彼は1995年までの31年間にわたり、様々な役職を歴任しました。

寮長としての役割

1984年から1995年と1998年から2003年には、阪神タイガースの合宿所「虎風荘」の寮長を務めました。この間、彼は「鬼軍曹」と呼ばれたり、自らを「関所の番人」と称したりしながら、次世代の選手たちを指導しました。2003年の退任翌月には、元寮生の新庄剛志から花束を受け取るというエピソードも残っています。

主な記録

梅本はプロのキャリアを通じて数々の記録を残しました。特に、1957年4月2日の対国鉄戦での初勝利、すぐにその後の広島戦での初完封が印象的です。また、背番号は数回変更されましたが、1955年から1979年までさまざまな背番号でプレーしました。

著書

彼の経験が詰まった著書『虎風荘の若トラたち―名物寮長が明かす虎の子の育て方』は日刊スポーツ出版社から2004年に出版され、彼の豊富な経験と知識を深く理解する手助けとなります。

梅本正之はプロ野球界において、選手としてだけでなく、教育者としても多くの選手に影響を与えた人物としてその名を刻んでいます。

もう一度検索